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第12回詩人バトル Entry40

寒い寒い、冬の帰り道
自転車を押して 坂道を上がる
北風に負けないように マフラーをぎっちり巻いて
手袋をしてるのに 指先は冷たく固まってた

ふと 足を止めて空を見上げる
深い深い、紺色の 高い高い、空
ぐるっと見回して星を数える
ほら あそこにはオリオン座
この空は冬の寒さの代償
「東京は星が少ない」って君は嘆くけど
この空であたしは育った
この空をずっと見てた
この空がずっとあたしを見てた

どんなに空気が汚れていても
どんなに星が少なくても
確かにこれが あたしの空
誰のものでもない あたしの空

マフラーをもう一度巻きなおして
あたしはまた 歩き出す
自転車を押して
この坂を上がれば見えてくる
あたたかい あたしの家

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