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第159回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1ReStartYamaRyoh396
2ガチャピン大覚アキラ181
3太陽に倣う凛々椿154
4境界特急金河南280
5木の迷路石川順一281
6オランダ坂サヌキマオ250




 


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詩人バトル読書会
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エントリ1  ReStart    YamaRyoh


Can I start again?

目に見えないけれど
確実に在る絶望と希望
その両方(どちら)も手にしないと
前へ進めない気がしてた

どこで間違えたのだろう?
どれが正論なの?
お偉い人の話を聞いても
さっぱり見出せぬ… 真実(こたえ)

ただ、何とかしがみついて
ただ、何とか頑張って
このセカイを生き延びてきたけれど
昨日正解した回答で今日も正解だと言い切れる?

ただ、何かだけを信じて
ただ、何かだけに頼って
気づけば僕はタダの人になっていたよ

Can I regret again?

目に見えない程
心を抉る 切望と誹謗
その両方も振り払って
前へ進もうと誓った

どこで気付くのだろう?
どれが定説なの?

生者必滅の理だって
きっと分かってしまう… 未来(あした)

ただ、何が正しいのか
ただ、何が起こるのか
このセカイを見続けてきたけれど

その模範解答が現実=セイカイ=と言い切れる?

ただ、難解なだけの理論で
ただ、五択だけ選んで
気付けた 皆タダの人なんだったよ

I can start again!






エントリ2  ガチャピン    大覚アキラ


すべり台の一番高いところで断続的に爆発しながら
ガチャピンが存在しない耳たぶを震えさせる
そのときの高音域の伸びは
誰にも真似できないほど抜群だから
ガチャピンは何度も何度も爆発を繰り返す
存在しない耳たぶを震えさせて
抜群の伸びの高音域を響き渡らせながら
やがてガチャピンはすべり台の一番高いところで
抜群に伸び続ける高音域だけになって
子どもたちの憧れになって世界中を飛び回る





エントリ3  太陽に倣う    凛々椿


太陽が液状化する

とろけながらも雲の絹糸を伝い
向かう先は飽きもせず西の空だが
絶望じゃない
繰り返しは絶望じゃない
目覚ましを止める
ぞろり人人の渦を身にまとう
迷走を続ける
折り重なる抜け殻をつなぎ合わせている
どちらにしろ
たどりつくのは同じ朝日だ
絶望じゃない
繰り返しは決して絶望じゃない
かの人よ

にじむようにゆれながら
進め





エントリ4  境界特急    金河南


オレンジがさねの枕木と蛇腹の石ころどこまでも、
見えるほどもない星の実を菓子にはさんで爪弾いている。

黒い草たちは宗教のようにぴうぴう吹いてはお辞儀する、
唐傘がさねの歯車が、くるくる吐いては散らすような、
冷え切る。

そら、ヒトツ鳥。

ムラサキ色の。 藤棚。

パンタグラフが散らす火と編まれる電線どこまでも、
とうに鳴らない遮断機をこえて飛び入る虫が、足を振りあげて、
轢かれる。

そら、シマキ月。

アイサビ色の。 寝台。

明日を抱えたらいいじゃないか夜に、視線をこぼし、かけ、
慈雨に撃たれたらいいじゃないか朝を、電燈機が告げる前に、
春に、
別れを落ちて。わずかな羽根を、食み。散る。





エントリ5  木の迷路    石川順一


シークァーサーの葉の上の天道虫たちは
孵化直後の為に無動の状態だと思って居たのに
あそこの葉もここの葉も全て死んでいるのではないのかと
思い至ったのは今日が初めてである

蜘蛛も来ている
蠅も小蠅も来て居たのに
揚羽蝶の幼虫も居なくなったかのような静寂に
相変わらず時折やって来る揚羽蝶に
一体三齢幼虫の白紋の黒い幼虫は何処へ行ったのだろう
一回だけその黒を脱ぎ棄てて青虫となったその姿を
拝んだと言うのにその時は
風五月を一身に浴びながら一心に眺めて居る我の実態
ナナホシテントウは滅んでしまった
黒い天道虫がだけが葉や茎を動いている

蜘蛛の薄い糸が一本風に翻る
そんな薫風を浴び続けて居よう





エントリ6  オランダ坂    サヌキマオ


オランダ坂にやってきた のは
重たい穴が開きます という
例のかの歌をなぞる旅 だもんで
浮かれた僕なぞ転げ落ちる ほど
ゆかいでもない雨でした た

グラバー園に往ったばかり でして
そのままここまで歩いてきたので で
なんにもない坂の上見上げて て
これのぼんのかよともいました(拍)

オランダ坂は足に食い込みます
夕間の雨は毒であるです です
先ほど買ったビニールのかさ も
買ってよかったと思います(拍)

コンビニで飯を買い込みまして
タイルの床のホテルの部屋で
ちゃんとBSで巨人戦があって
とてもけっこうともいました(拍)

作者付記:友部正人「長崎慕情」から言葉をお借りしました。