■ poem50 chitoku | ||
人民帽 一人路上の喧燥を離れ 乱立するビルの屋上に出る。 歩行者天国に凝集している、黒い、 砂鉄玩具のような人間の頭。 秩序なく広がる頭の群れは、 同じく広がる建造物と溶け合う。 風に煽られ、天を見るとき、 自転車に乗り、 人民帽をかぶり、 押し寄せる、灰色の、 灰色の大群衆を夢想する。 「一人位殺したって、分かりゃしない。」 蟻一匹殺すのとどこが変わる? 命の重さ?何のことだ? よく晴れた「気持ちの良い」空に腹を立て、 もう一度下界を見下ろすが、 雑多な黒い頭が、激しく脈を打つ、 人民帽が消えない。 何なら、飛び降りてみようか? | ||
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