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poem50
chitoku
人民帽

一人路上の喧燥を離れ
乱立するビルの屋上に出る。
歩行者天国に凝集している、黒い、
砂鉄玩具のような人間の頭。
秩序なく広がる頭の群れは、
同じく広がる建造物と溶け合う。

風に煽られ、天を見るとき、
自転車に乗り、
人民帽をかぶり、
押し寄せる、灰色の、
灰色の大群衆を夢想する。
「一人位殺したって、分かりゃしない。」
蟻一匹殺すのとどこが変わる?
命の重さ?何のことだ?

よく晴れた「気持ちの良い」空に腹を立て、
もう一度下界を見下ろすが、
雑多な黒い頭が、激しく脈を打つ、
人民帽が消えない。
何なら、飛び降りてみようか?







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