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第4回中高生500字小説バトル

エントリ 作品 作者 文字数
記憶 八重樫宏典 500
僕(カラス)の自己紹介 雪雀 496
人は空を求めるもの 篠崎かんな 500
只今会議中 越冬楓 500

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エントリ1 記憶  八重樫宏典


小さな頃の思い出といえば、暖かい部屋と落ち着いた鼓動だけだった。

いや、そう言うのは正確じゃない。

正確に言えば俺にはそれ以外の記憶というものが存在しない。

笑っちゃうだろ。でも、これは本当の話だ。

ところでどうしてこんな所に来たんだ?

別にあんたの店でも良かったんじゃないのか。

・・・。まぁ、いいや。

ここだけの話。俺はアンタと出会う前。

何か大切な事をしなければならなかった。

・・・それが何かって?それがわかればあんたに会わないよ。

記憶喪失・・・なんかじゃないな。

理由?俺が「そう感じてるから」

理由になってない?ハハハ。確かにそうだな。あんたの言うとおりだ。

で、教えてくれよ。あんたならそれがわかるんだろ?

俺に記憶のない理由。

落ち着け?十分落ち着いてるよ。大丈夫。

そういえば。

話に夢中になってて気づかなかった。

ったく、気が利かないな。

ちゃんと水ぐらい持って来い!っての。

あんたの前にはしっかり水があるってのに・・・?

あ・・・。そうか。

それで。それで、あんたはわざわざ・・・。

俺に気づかせるために。

ちょっと待てよ・・・。

思い出してきたぞ。

俺がしなけりゃならなかった大切な事・・・。

そうか。生まれる事だったんだ!!




エントリ2 僕(カラス)の自己紹介  雪雀


 僕はカラスです。都内の某区に住んでいます。結婚もしていて、今では2児の父親。そんな僕はカラスです。

 カラスって何だか嫌われ役が多いですよね。人間たちは「ゴミを散らかす」「鳴き声がうるさい」とか言ってますけど、僕たちから言わせてもらいますとね、人間だって似たようなものですよ。
 
 まずゴミ。これは僕たちにとっての食事なんです。人間だって食事はするでしょ?食べなきゃ死んでしまいますからね。僕たちだって同じです。生きるために食べるんです。ましてや人間はわざわざ食料を道ばたに置いてくれるんですから。
 
 次に鳴き声。これはちょっと怒りを感じますね。これはね、会話してるんです。人間には分からないかもしれませんが、僕たちだって会話くらいしますよ。それをうるさいなんて言われるのは心外ですね。僕たちから見れば人間だって十分うるさいですよ。
 
 そうそう。一つ言っておきますね。今、僕が喋っている言葉は人間の言葉ですよ。カラスの知能を甘く見ないでくださいね。人間の言葉くらい理解出来るんですよ。喋らないのはまだその時期じゃないからです。まあ、気をつけることですね。あんまりカラスを怒らせると、後が怖いですから。




エントリ3 人は空を求めるもの  篠崎かんな


『真っ青』っと言われて想像する色は、人それぞれ違うけど
『空色』っと言うとみんな同じ色を考えるのではないかな。

「あら、そんなこと無いわ。」

彼女だけはそう言った。
「空だっていろんな色があるのよ、季節によっても変わるし、夕焼けや朝焼けもすばらしい色だわ。」
僕は少し寒気を覚えた。
「……君は見たことがあるのかい?」
「えぇ、あるわ」
それを聞いて、僕は興奮して叫んだ。
「どこで見たんだ!」
すると彼女は自分の頭を指さして
「夢で」
と言った。
「小さい頃から、空の夢をよく見るの。」
僕は震える手で彼女につかみかかった。
「なにするの!」
「……お願いだ、僕にもその『空』見してくれ」
「無理よ!」
「一度でいい、見てみたいんだ!」
必死に叫んだが、彼女は僕の腕を振り払って走り去った。

「あぁ……」
落胆する僕は地面に座りこんで上を見上げた。
『屋根』
上空一面をすき間無く覆う、色が塗られた金属の空……
オゾン層が完全に破壊されて三百年ほどになる。
危険な紫外線から人類を守るために、地球全土に『屋根』が付けられた。
薄い水色、これが空色。僕らの時代の空。

夢でいい……夢でいいから見たいんだ……

もはや、本物の空など仰ぎ見ることはできないのだ。




エントリ4 只今会議中  越冬楓


「ふぅ」
僕はいつもため息が多い。

日曜日の午前中ほど暇な時間はないだろう。
中3なんだから、勉強しないといけないのだが、それをする気にもならない。
午後になるまで寝ていよう。と、思い寝返りをうった僕は、思わずもとに戻る。
ちょっと待てよ、いまのあれはなんだ?
もう一度見て、確認する。
あれはまだそこにいた。
…羊だ。
でもなんでだろう…。まだ起きていない頭が、フル回転になって原因を考える。
「はぁ」
「めぇ〜」
僕がため息をつくと、ひつじも声をあげた。
なんだか、会話をしているみたいだった。
試しに話しかけるか。
「名前は?」
「めぇ〜」
「何でここにいるの?」
「めぇ〜〜」
「何だしゃべれないのかよ」ため息まじりで言った。
「うるせぇなぁ」
…空耳かな?羊をまじまじと見る。
「なんか言ったのか?」
「言ったよ。何でってお前が呼び出したんだろ」
「はぁ?」
「ったく。お前はやる気ってものが全く無いよな。今治療するからちょっと眠っておけ」
何を言っているのかよく理解できなかったが、考えていたらそのまま布団に倒れた。

これが今回の症例を患者側からまとめたものです。
この患者の治療は現在終了しました。
以上で全国受験生救出対策本部の会議を終了します。





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