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第21回中高生500字小説バトル

※今回は1作品なので、チャンピオンの選出は行いません。参加作者さんの投票義務も無しといたします。

エントリ 作品 作者 文字数
01巻貝の波間に瓜生遼子500
 
■バトル結果発表
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エントリ01  巻貝の波間に     瓜生遼子


 女がいた。
 と言っても世界の半分は女だから、きっとその女がどういう人かは分かってもらえないに違いない。よって僕はその女のことを分かり易く説明する必要がある。
 つまり、その女は巻貝を耳に当てる女だった。
 よく分からない、という意見が多そうだ。だが、これ以上説明の仕様がない。なぜって、その女をよくよく観察する前に、巻貝を残して女が消えたからだ。だから僕が彼女について知っていることは、彼女は巻貝を耳に当てた女だったってことだけだ。女がどこにいったかは誰も知らない。
 とりあえず、今、僕の手元には女の残した巻貝がある。別に真似する気はないけれど、僕はそれを耳に当てた。
 ざざんざざざん、と音がする。僕は驚いた。巻貝から海の波の音がする。女はこれを聴いていたのか。僕は巻貝の波の音を聴き続けた。女のように。かつて女がそうしたように。
 そして、最後に音を聴いた。
 
 さぶん。

 僕は巻貝をなくした。巻貝はどこ、と聞くかわりに、ごぽごぽごぽっと音がした。僕の周りは水だった。喉に入ってくる。水は塩っ辛かった。
 なぁんだ、やっぱり女はここに来たのか。
 最後に聴いたあの音は、僕が巻貝の波の間に飛び込んだ音だった。