感想:
面白かった。文字通り、父の崩壊という、ありうべからざる事が書かれているのだ
が、それをめぐる息子や母親の、いかにもこうもあろうかという描写に支えられて、一体この次はどうなるのだろうと終わりまで一気に読み進んでしまった。「父親は仕事にストレスし、」など、いささか引っかかる文章もあったが、それも気にならない程であった。
対するQ氏の作品は、文章へのこだわり・気遣いは感じられ、しみじみとした情緒をかもし出しているけれど、長さの割に伝わってくるものが今ひとつなかった。言葉の量に対して必要な情報が足りず、読んでいる側としては欲求不満が残ったようでもある。
感想:
越冬こあらさんの作品については、久しぶりに不思議な感覚の話が戻ってきた感じがする。これはバトルだからきっと読者を意識しての作品なんだろう。最近の作者の傾向として台詞で改行しないという事を続けているようだ。
商業誌にも改行しない作品があるにはあるが、その使い方を見ていると意味があっての無改行であると思われるが、全てについてこれをやられると、やはりこれは読み難い。
ラストで息子までもが同じ体質で遺伝していくというのは、途中の一郎・次郎の伏線から想像出来てしまうが、これはやっぱり水戸黄門の印籠と同じで安心出来た。
マニエリストQさんの作品については、久しぶりに来た生まれ故郷が、大人と子供との感じ方の違いから、小さく見えるというのは解るが、いつも通い馴れた道を通っていて、小さい頃の事を思い出すというのには納得がいかなかった。(説得力がなかった)そういう思いをした引きがねが欲しい。ラストまで、昔住んでいた家に行って親戚(妹の家族)にでも会いに行くのかと思ってしまった。
ただ内容から判断するに、妹の想い出を思い出しているので、ひょっとしたら亡くなってしまった妹の墓参り(葬式にしては、家族が残っているから違うだろう)にでもいった帰りなのだろうか?
そこまで考えての作品なのかも知れないという不安はある。
「兎は茜色の宙にゆっくりと大きな弧を描いて飛んでいた」の後に時間経過の思いを書くという手法には参った。確かにこういう書き方だと、その場面が印象的だと強調される。これはいつか使ってみる価値がある。
どちらに軍配かといったら、今回のタイマンも難しい。接戦である。多分読者の好みの問題になってしまうだろう。
純文学を志すのか、エンターテインメントを目指すのかという問題とさえ思われる。で、私はどちらかというとエンターテインメント派なので、Qさんには申し訳ないが、こあら氏に票を投じます。
感想:
越冬こあらさんの「バラバラ」、起承転結が見事だったのと、とにかく面白くて久しぶりに大笑いさせてもらったので一票入れさせていただきます。
Qさんの「庭」もノスタルジー溢れる良い作品と思いましたが、バトル作品としてはちょっと弱い(普通すぎる?)かなあ、と。。
感想:
人間がパズルのように蘇生できるというアイデアが面白かったです。
マニエリストさんのは文体が読みにくい部分と読みやすい部分がサンドイッチなってる感じがしますね。
感想:
読みやすくてぐぐっと引き込まれる感じがいいです。
怖いようで怖くない、気持ち悪いかというとそうではない。
いづれ主人公の三郎もバラバラになっていく、その光景が
案外とくっきり脳裏に映像として浮かんだとき、
なんとなく自嘲気味の笑いが最後にとれる・・・
実はバラバラなのは、家族そのもの?
面白かったです。
感想:
これは好みですっぱりシロクロ付いてしまった。導入のインパクトでオヤと思わされ、中盤で笑わされ、結末で「そーいやそうだな」と感心(?)する。
娯楽性の高さは流石。
部品不足の父親に、生きている理由を尋ねたら、「新陳代謝って奴かな、アハハ」とか言いそうですね。
感想:
とってもとっても迷ったんですが、最後には結局自分の好みを優先させてしまいまし
た…。
越冬こあらさんの3000字を読んでいて、昔に見た谷川俊太郎氏の詩を連想しました
(家に帰ったら親父が死んでいた…という内容の詩だったと思うのですが)
どうも私は、こういう「うそーっ」と笑いながら読めてしまう作品に弱いようです。
感想:
越冬こあらさん作「バラバラ」を推薦します。
まあ、なんとこの手はこの作家、天才ですね。あんまり巧すぎて、厭味なくらい。
短篇のなんたるかを熟知している。ただ書きたいものを書くのではなく、読者を明解に意識して書けていると思える。
感想:
こんなブラックユーモアなお話が大好きなのですが、久しぶりに身震いするほどゾクソクしてしまいました。お母さんも良い味出してます。
感想:
すげえ。大人の戦いだ。(私は学生)
こあらさん、これはハンプティダンプティが元になっているのでしょうか。
面白い体験ができたあ!
主人公の心情の変化とか、参考になる。
Qさん、「過去」を扱っているのが、すごく大人の作品っぽい。
すごく深い作品だな。
でも最後がわからない。
なんで娘、妻が居るんだろう。
主人公は故郷に久しぶりに帰ってきた、という設定だと思っていたのですが。
「町が収縮していた」ってのは「子供ヴィジョンから大人ヴィジョンへの変化」によるものですよね? そこはわかった。
過去のシーンが印象的。
妹と主人公が話すシーン。ウサギを庭に投げられても怒らなかった妹。
こあらさんに投票です。
過去を扱ったQさんには本当に敬意を払います。
でもはっきり言って、今の私にはあまり面白くありません。
まだまだガキってわけなんですけども。
過去を主題にされても、まだよくわからないのです。
面白かった、バラバラに投票です。
感想:
越冬こあらさんに一票。
理由は、読んでいて面白かったからです。第1回と同じでQさんのは難解なんですが、それだけに感情移入しづらかったです。ラストの展開も良く分からなかっ
たです。
こあらさんの作品なんですが、残ったひと山の肉片は何だったのでしょう。捨ててしまってよかったのだろうか。父に言わなくてよかったのか? ……きっとそんなことはどうでもいいことなんだろうなあ。どっちにしてもまたバラけるんでしょうね。
シュールで、笑えるところが気に入りました。
この主人公は、音楽を諦めるんじゃないでしょうか。で、息子ができたら同じことを繰り返す、と。
感想:
越冬こあらさんの「バラバラ」に投票します。
純粋におもしろかったので。読み終わった後、一人でニヤニヤしてました。
Qさんの方も子どもの描写がすごく雰囲気があって好きだったので迷いましたが、こあらさんの方にピンと来たので、一票!
感想:
自慢じゃないけれど私は頭が悪いので、「庭」は軽く一回読んだだけでは、よくわかりませんでした。緻密な重量感を持つ情景描写は好みだと思いました。その後二回ばかり読みました。色々なものをただ待ち続けるしかない兄妹の姿が(少々あざといまでに)切ない、そして緑の夏の芝生へと、あるいはまだ見ぬ未来へと、弧を描いて落ちるウサギのイメージも鮮やかだと感じられました。ただ私にとっては、楽しんで読むには難解でした。
逆に「バラバラ」は、恐ろしくストレートです。怒りに任せて父親の存在を崩壊させてしまった少年が、新しい関係を再構築していく。と、これをまさに文字通りにやってしまう、ある意味ミもフタも無い作品なのですが、突如少年を見舞った混乱、それに続く儀式めいた一夜(はっきり言えば、通夜を連想させる)の特異さが、コミカルで軽快な文章の中で表されていると思いました。
小説なんて、多分に読者への迎合と思います。迎合という言葉に語弊があれば、サービスっす。少なくともこの人気票取り合戦の場において、Q氏ならもっと平易に描くこともできようテーマに、あえて小難しく迷彩を施して見せるのはQ氏のマニエリストたる美学なのかも知れませんが、どうせならすんなり読めた方がいい、などと考えてしまうのはあまりに軟弱すぎる姿勢でしょうか。