第2回パラ1000字小説バトル結果

おめでとうございます!

今回のチャンピオン作品は、
とむOKさん『チェイン』に決定です。
とむOKさんは、早くもグランドチャンピオンにリーチがかかりました。

エントリ作品作者得票
04チェインとむOK5
03盆栽(はちうえ)太郎丸2
05巨人焼き越冬こあら2


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■チェイン  とむOKさん
 
感想: 自分の心を持て余す時期って、あると思う。本当は望んでいないことを無理してやって自己嫌悪に陥ったり、自分が詰まらないものに思えたり。傍から見れば「可愛い」ものだが当人は必死なのだ。この時期限定で大人になったら失くしてしまうから、必死で抵抗してもいいのだ。そしてこの少女のように温かい目で見ていてくれる人が側にいれば、道を間違えることはないのだ。
 「さつきちゃん」が無事素敵な大人の女性になれればいいなと思いました。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:こあらさんの作品と迷ったけれど、こっちの方が独特だと思ったし、作風も好み。
1〜3の作品は、テーマに振り回されてしまったような気がした。
推薦作は、王道だけれど、お題が自然な形で作品に取り込まれているのが良かった。
こあらさんは、他の人がやらないようなお題の用い方を考えたのだろう。そういう姿勢は大好き。

最近、とむさんは甘酸っぱい系が多いようだ。しかも、空の状態を書き込んでいるっていう共通項まである。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:金延幸子という人の歌の歌詞で、目隠しされたニワトリが目隠しはずされて、空を見つめたままじっとしているという描写が出てくるのがあるのですが、それを思い出しました。見当はずれかもしれませんが。良かったです。葱
票者:このバトルへの参加作者


感想:>痩せた白い足を編み上げの黒ブーツに通して、厚目の靴底で音高く土間を打つと、小さな南京錠をかたどったピアスが血管の透けるあたしの頬を叩く。

まず描写が作品の部品として機能していて整理してあるし気持ちいい。映像的かつ抒情的。描写しつつ、人物の内面を描く。

>それなのにどこかにひっかかってい【て】、巻きつけた鎖がちゃらちゃらと鳴っ【て】、
>でも雅君の傍で咲いてるひと群れだけは違ってい【て】、芯白を鮮やかな赤が縁取ってい【て】、それがとても美しく【て】、
>庭じゅう咲き揺れる春の花々は色が多すぎ【て】、混ぜた絵の具の塊に見え【て】、何だか気持ちが悪くなっ【て】、

それから音も気持ちいい。【て】で文を繋げていくと読んでいて気持ちは高まって行くのだが、その気持ちをどこに着地させて良いやら分からず、読んでいて落ち着かない。その気分は語り手のさつきさんの抱いてるものでもあって、そしてそれがいちおう、

>あたしの上で青い空が悠々と広がっている。はるか遠くまで広がっている。

と空に吸われていくかもしれない感覚を与えるので、読後感は若干良い。「広がっている」の言い直しも気持ちよい。自然に結論を投げているようで個人的に、納得はいかないのだけれども。でも構築する力は、作品に対する支配力、制球力は相変わらずすごいなあと思いました。

<ロヨラ>
票者:このバトルへの参加作者


感想:Entry.01「ありふれ過ぎていてつまらないもの」ロヨラ
つまらない日常だと感じる心が哀しい。そういう気持ちって悲しいよねという話なんだろう。しかし、椿と皐月との違いを知らないという設定は無理があるような…。

Entry.02「五月さつき」葱
始めの話が精神障害があるという人の話す内容で、途中がヘルパー達の会話。でラストも岡崎さん? よく理解出来なかった。しかし五月さつきの苗字は「いつき」と読むのだろうか? まさか「さつき」じゃないよなぁ。

Entry.03「盆栽(はちうえ)」自作
釣りに行くのに、寒いとはいえ羽織は着ないだろうという突っ込みを入れてしまいました。最近1000字を書くのが苦痛です。書いているとどうしても長くなってしまって、この話も随分切ってしまったせいで、あらすじを読んでいるようになってしまった。昔から書きたかった、江戸時代の園芸の話ですが、やっぱり時代物は難しい。

Entry.04「チェイン」とむOK
羽ばたきたいと思ってはいても、それはまだ無理なんだと理解しているうえで、それでも自分自身で何とかしたいと思っているらしい生き方が、雅君という人物との対比から、自分で理解出来るからこそのもどかしさとでもいうべきものが表現されていて、作品としてはいい感じになっているとは思うのだが、私の好みではない(笑)

Entry.05「巨人焼き」越冬こあら
完璧に時そば(時うどん)では無いですかぁ(笑)タイトルの巨人焼きは主人公の勘違いでJリーグ焼きだったというオチも可笑しい。

悩んだ末に、とむOKさんにします。
票者:このバトルへの参加作者


■盆栽(はちうえ)  太郎丸さん
 
感想:読後感がとても、すがすがしい。きれいすぎると感じるところもないではないが、そんなことは気にならないほどスムーズに伝衛門に感情移入できる。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:穏やかなストーリーの中に作者の優しい視線を感じました。
歴史や薀蓄に偏らない内容に共感しました。
イチオシです。
票者:このバトルへの参加作者


■巨人焼き  越冬こあらさん
 
感想:……あれぇ?
 と、打とうとした球がそのまま変化してどこまでも流れていっちゃったような感じ。いいです。参りました。
 意表を突かれてうひょー、という感じ。(M)
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:そうかあ。「時そば」にはこんな使い道がありましたか。お見事。
そしてイカ玉プレス焼きは相変わらずの人気ですね。
票者:このバトルへの参加作者