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100字小説バトル!!




第4回結果発表です。

第3回です。

第2回です。

第1回です。





 □ 100字小説バトルルール

1.投稿する小説は、100字ぴったりでなければならない。
2.ひとり何作品でも応募可。
3.1バトル30作品。30作品集まった時点で公開。
4.連作も可。その場合は「備考」として連作である旨を明記すること。
  ただし一話ごとに話は完結させる。
※なお現在、100字小説バトルは休止しております。

 □ 作品公開


- ENTRY_1... -

「失恋」 もか

洋子は一人泣きじゃくっていた。
「私見たんだから。隆が美里といるところ。」
そして割れた鏡の欠片を手に取った。
さっき落として割ったものだ。
じっと見つめて呟く。
「だめだ。もうちょっと可愛く泣かなきゃ。」



- ENTRY_2... -

「犬小屋」 君島恒星

息子の希望で柴犬を飼うことになった。
僕が子供の頃、ねだって飼ってもらった犬は、世話もしなかったのに、なついてい たっけ…
手作りの犬小屋の陰に、あの頃の犬が恥ずかしそうに覗いた。
幻…
二匹は鼻をくっつけた。



- ENTRY_3... -

「欠勤理由」 ようこさん

「新入社員の内野陽司君欠勤多いわね」
「そうね『うちのようじで』って月金連休平気で取るのね」
「奥さんがわがままなのよ」
「奥さん?」
「知らないの?作家の里賀恵理よ内野君に子供押し付けて実家に里帰り しちゃうらしいわ」
「で、いつもうちのようじって訳ね?」



- ENTRY_4... -

「殺意」 君島恒星

嫉妬に狂った凶暴男が、わたしを殴る。
口の中を満たす血の苦さ。
殴った後、優しくなる男…
でもまた殴られる。
繰り返し…
その優しさだけに、すがれない。
他の安らぎ求めるわたし…
変わらない。
あの男が消えなければ…



- ENTRY_5... -

「廻る季節」  鏡 春夜

 ヘッドホンをして何時もの様に電車に乗り込む。
降りる駅ではっとして顔を上げれば外は一面の桜。
一粒の涙ホロリ。
貴方と初めて出会った春、目で追うようになった夏、
恋を自覚した秋、初めて泣いた冬・・・
廻る別れの春。



- ENTRY_6... -

「A response」 鏡 春夜

 求めずにはいられない
「近くて遠いものなぁんだ」
「君との距離」
…今思ったんだけど
もしかして僕が君に求めてるモノと
君が僕に求めてるモノって同じ?
「…」
なわけないか。
でも
そうだとしたら
今すぐ君の手を掴むのに



- ENTRY_7... -

「A riddle」 鏡 春夜

聞いてみたくなった。
ほんの少しの勇気を下さい
「唐突な質問ですが、近くて遠いものなぁんだ」
間髪入れずに応える
「君との距離」
「…」

そんな悲しそうな顔しないで。
コタエきかせてよ、君のコタエを
どうか聞かせて…



- ENTRY_8... -

「昔の話し」 つば

わしは昔、ある女の子に恋をしとったのじゃよ。
ある日、その子が話しているのを盗み聞きしたんじゃよ。
彼女は猫の話しをしていたんじゃが、こう言ったんじゃ。
「昨日、新種の猫開発に失敗して変なのできちゃった。」



- ENTRY_9... -

「言う事」 5

あたしがだめだよって、止めてるのに、
あんたはいつも聞かないね。
あたしが抵抗すればするほど、
あんたはあたしを閉じ込める。

気が付くといつもこうなんだ。

目の前に、きれいな赤い海がある。

ねぇ、あんた何したの?



- ENTRY_10... -

「こんな感じ」 mizuki

”100字バトル投稿”
目の前のパソコンの画面に映し出された文字。
「なにこれ、100字って、そもそも小説って言えるん?」
たまたま、立ち寄ったサイト。
「ありえん〜笑」
・・・まぁこんなもんだ。



- ENTRY_11... -

「まるのみ心中」 ながしろばんり

 うわばみ、道行の男女を呑む。二人は心中の算段であったので、どこで死ぬの も一緒、三千世界で添い遂げんと持っていた匕首でお互いをズブリ。
 うわばみ「刃物を持ってるとは思わなかった」と医者へ這う這うの体。



- ENTRY_12... -

「彼女のヒゲ」 君島恒星

僕の彼女にはヒゲが生えている。
濃いりっぱなヒゲではなく、産毛だけど、キスをするたびに幻滅する。
ヒゲのことを言うと怒るくせに、剃ろうとはしない。
剃らせる妙案はないだろうか? 
今日もヒゲが僕を呼んでいる。



- ENTRY_13... -

「手作り弁当」 君島恒星

手作り弁当は恐怖。
彼女の笑顔とともに差し出される、手作り弁当…思わず笑顔が引きつる。
覗き見した台所は汚く、ホコリまみれカビだらけだった。
甘酸っぱい味しかしない。
吐き気を押さえるのが、やっとなのだから…



- ENTRY_14... -

「花束」 君島恒星

送迎会では上半身が隠れるような花束を、つくり笑顔で抱きしめた。
自宅に戻って、花束を床に投げ付ける。
寿退社じゃないのに…
上司との不倫、ミスのなすり付け、いじめ…それから逃げただけ。
もう一度花束を蹴った。



- ENTRY_15... -

「指の想い出」 君島恒星

私には人差し指がない。
小さい頃、通り魔に切り落とされたそうだ。
今、その指を探している。
あの頃の幼さが残る指を…
泣き叫ぶ、子供の指を切り落とす。
ああ、子供の指じゃ駄目だったわ…成熟した女の指でなくては…



- ENTRY_16... -

「衝動」 神崎現

 手は黒鉛にまみれて紙の上で踊っている。視線は前の誰かの 背にひっついて離れない。無意味な文字の羅列が机にはみ出し て、すべてを埋め尽くしてもこの鉛筆は手放してはいけない。 握り締めた鉛筆に爪の跡がついた。



- ENTRY_17... -

「時計」 神崎現

 昨日の夜寝る前にネジを巻くのをうっかり忘れ、朝起きたら 時計が止まっていた。いま何時だかわからない。時報を聞こう と思ったが、電話番号がわからない。ついには腹時計まで止ま って、腹が減ったかわからない。



- ENTRY_18... -

「夢」 朝嶋 さくら

夢の中の僕。誰も知らない。誰も見られない。
一人の世界。僕だけの秘密は、恋をしていること。
叶わぬ夢。夢の中の夢。信じるのは自由。
でも叶わない。夢の中の僕。誰も知らない。
誰も見られない。僕だけの秘密。夢。



- ENTRY_19... -

「まだ私はガキだから」 たき

「アイス食べたい。ぱきんってするやつ」
棒が二本突出ているソーダバー。
ぱきん。
「父さんと半分こな」


私は鞄から、最後に撮った家族写真。
写真の笑顔を食入る様に見つめる。
ぎゅ、と閉じた瞳から、涙が一筋零れた。



- ENTRY_20... -

「幸せ」 たき

「元気出しなよ」
母は蜜柑の缶詰を渡してきた。
「ありがと」
自分でも泣きそうな顔をしていたのが分かった。
次の日も母は缶詰をくれた。
ラベルの上から『幸せの缶詰』とマジックで書いてあった。
「ほら」
母は笑った。



- ENTRY_21... -

「オニ」 たき

「俺と付き合って」
「嫌」
「メル友から」
「嫌」
「会ったとき挨拶する程度の関係でも」
「嫌」
「いい天気だな?」
「うん」
「ちょっとくらい……」
「嫌」
「なあ、聞いてもいい?」
「何」
「『オニ』って言われたことは」



- ENTRY_22... -

「マリの連鎖」 ようこさん

叔母の名は万里子水田氏に一目惚れし嫁いだ事を後悔していると言う。
妹は人も家柄も申し分ない花図家御曹司の求婚を受けるか否か
今猛烈に悩んでいる我が小田姓からの離脱を彼女自身
強く望んでいたはずの真理だのに。



- ENTRY_23... -

「登山家の集い」 ようこさん

山仁登氏主宰の「山ニ登ル会」高尾山への車中
関譲氏が平木大氏に関を譲ろうとし「へいきだい」
と断られた事に立腹し手を挙げた
板井開氏が「いたいかい?」となぐさめ
紅一点の波田フクさんすっとハンケチを差し出した。



- ENTRY_24... -

「集中工事」 ようこさん

「大工の内野さんの息子公二君だったか?」
「はい」
「環境省に入られた川野さんの子は?」
「浩次さんですか?河川の調査なさってるそうです」
「ほほう、路野さんの子は道路公団と聞いたが」
「ああ、幸治さんですね」



- ENTRY_25... -

「改札秘話」 ようこさん

自動改札を通ろうとしたらキンコンと鳴ってバタンと閉じてしまった。
しばらく駅員を待ったが中々来ないそのうちにふと気付いた。
入れたのは「おみくじ」だ。もちろんとっとと逃げたらしい。
84歳になる母の話である。



- ENTRY_26... -

「時田さんの時計」 ようこさん

時田さん程時計好きな人を見たことがない
時田さんは時計を買うのが大好きで可愛い時計をたくさん買って
部屋中に飾ってある。
だけど外出の時時田さんはいつも困った事に気づく
お気に入りの時計はいつも電池切れなのだ。



- ENTRY_27... -

「ヒロイズム」 hana

遂にヒーローは“悪者”に勝ちました。
“悪者”は泣きながら言いました。
「家族が殺されてしまうんだ」
ヒーローは冷ややかに“悪者”をみました。
「知ったものか」
そしてヒーロー的笑顔で言いました。
「さようなら」



- ENTRY_28... -

「当たる占師」 moon moon

売れない占師がいた。 当たると評判の占師の実力の程を試してやろうと思い、自分の職業を隠し店に来た。 長い待ち時間の後、当たる占師の前に座った途端 「あなたは人にアドバイスする仕事はむいてません」 と言われた。



- ENTRY_29... -

「チャイ」 藤幹子

この世の終わりまで灰色のような港町。

白い船がやってきたと母が騒ぎだす。
南から、南からきたの、と子供達。

咲かない筈の花が香り出す。

今年初めてのスパイスの荷下ろし。

俺は鉄バネになって飛び出した。

今こそ夏。



- ENTRY_30... -

「楽園」 藤幹子

カピバラに「やあ」と声をかける。
のんびりと歩く象は子連れで微笑ましい。
新世界猿の群と戯れ、南国の鳥の声に驚き、優しい目の鹿を抱いて眠る。




さあ君、材料は決めたかい?

何言ってるんだ、ここは美食家の農場だよ。



- ENTRY_31... -

「言われたとおり」 藤幹子

蜂の巣にしてやるぜ!と男は言った。
一瞬にして体が次々と穿たれ、僕はゆっくりと倒れた。


それからの僕はいつもお花畑を歩いている。
蓮花、菜の花、白詰草。時には岩山にも行く。

僕製の蜂蜜の評判は、上々だそうだ。






 □ 結果発表

●チャンピオン決定

第4回100字バトルチャンピオンは――――
君島恒星さん作「花束」に決定です。
君島恒星さんおめでとうございます!
今回を持ちまして、100字小説バトルは一時休止とさせていただきます。
ご愛顧のほど、ありがとうございました。
作 品 名作 者 名
「花束」君島恒星
「犬小屋」君島恒星
「チャイ」藤幹子
「廻る季節」鏡 春夜
「改札秘話」ようこさん
「幸せ」たき


感想票



推薦:「花束」 君島恒星
感想:心身を休めて再出発!

推薦:「花束」 君島恒星
感想:花束を蹴る画がいい。

推薦:「犬小屋」 君島恒星
感想:犬の鼻が湿ってたよ。

推薦:「チャイ」 藤幹子
感想:季節は五感の戸を叩く

推薦:「廻る季節」 鏡 春夜
感想:とても綺麗で好きです

推薦:「改札秘話」 ようこさん
感想:お神籤の運命やいかに

推薦:「幸せ」 たき
感想:幸子の幸をここに見た












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