第8回1000字小説バトル結果
作品受け付け───9月15日〜9月30日迄(終了しました)
作品発表─────10月1日〜
人気投票受け付け─10月1日〜30日迄(終了しました)
結果発表─────10月31日
第八回1000字チャンピオン決定!!
鮭二さん作『負け癖』に決定!!。
鮭二さん、おめでとう。
心より感動の拍手を贈ります。
●負け癖(鮭二)
- 圧倒された。ステキ。
- わあっと盛り上がって落ちる、というショートショートの形式をきちんと実現していた。語り口も、とこどころ説明が足りないようなきもするが、おもしろい。
- 面白く読めました。こちらの体も少々熱くなってくるような気がしました。最後の会話で一気に冷める感じも心地よかったです。勝たせてあげたくなりました。
- 『売人街』が良かったのですが、文字数オーバーだったので失格とします。残念です。これ以外にはコレといって際立ったものがなく、判定が難しいのですが、消去法で『墓地の猫』『そして思い出になる』『負け癖』を選び、文章を読ませるウマサ、つまり牽引力と、人畜無害なイノキイズムをとって『負け癖』の勝利とします。
- 鮭二さんの『負け癖』を推します。自分の存在価値を、何だかよく分からない勝負で支えようとする主人公が妙におかしく、寂しいです。理解も評価も得られぬ思い込み勝負の寂しさ、我にかえった時の寂しさ、そもそも戦いに勝つ事とは何なのか? 負けるとは? いったい読んでいるだけで胃が重くなる気持ちです(って、誉めてるのか?)。いつも思うことですが、大変読みやすく安定した文章を書かれる方です。羨ましいです。
●天国と地獄(岡嶋一人)
- 印象に残ったもの、気になったもの
『SHIKA』逢澤透明さん作
バ、バンビと鹿って、ち、違うんだ……? 今までずっと一緒だと思っていた。というか子鹿をバンビだと……。と、そのまえにバンビという動物がいるのか? ワケわかんなくなってきた。それ以外はまとまっていますね。読みやすかったです。
『天国と地獄』岡嶋一人さん作
おもしろいです。読めませんでした。そう来たか。やっぱり天使と悪魔は対立しているのでしょうか。どっちもプライド高そう。(勝手な想像)
『でも、あなたじゃない』小沢 純さん作
手紙の内容がすごいですね。詩的だし、ストレートだし。私が男でこんな手紙をもらったらすぐに別れそう。疲れそうだもん。
『もみじ君の冒険』DIPSYさん作
さわやかですね。
『そして思い出になる』茗荷丸さん作
引っ越すぐらいでそんなにひたれるものなの。
で、総合的に『天国と地獄』が単純に一番楽しめたので、これに投票します。(一番印象に残った。素でおもしろいと思った。)
今回は書き手だけ遠くをみてしまっているものが多かったような気がします。小説、エッセイを書きたいと思っていた頃、書き始めた頃、私もそんな文章を書いていました。「文章がうまい、へた関係なく疲れるんだよね、こういうの」と知り合いのの編集者さんに一蹴されたことを思い出しました。自己陶酔型。自分だけ遠くを見つめて読者を置いていってしまう文章。その頃は、「お前にはこの良さが分からないんだよ」とか強気に考えていましたけれど。そのうち書き重ねていくうちに気づきました。自分だけのスタイルを作ろうと。作ろうではなく、ものまねではなく、自分のスタイルがないといけないんだ。そうじゃなければ読者から見て真新しいものなんて書けないよ。と。「おもしろい」という感想を言われるより、「独特の、言い回し(世界・視点)だよね。」とか言われると「ニヤッ」とか思ったりなんかしませんか。といってもこれが難しい。
- 面白かったです。思わずニヤリとしてしまいました。だから、日本語って難しい……。後は、越冬コアラさんの『噴出』も面白かったです。だらだらかぁ……と思いながらだらだら読んでしまいました。
●そして思い出になる(茗荷丸)
- 全て目を通しました。一之江さん、狂さん、3104さん、根本智也さん、茗荷丸さん、DIPSYさんの作品がそれぞれに良いと思いました。その中で、文末にもう少し工夫の余地があるものの、文章の隙間にさらに話が見える作品として、茗荷丸さんの作品に一票入れたいと思います。
- 『訪問者』(夜啼き鳥さん作)とどちらにするか迷いましたが、やっぱり素直にびっくりした方、『そして思い出になる』に投票します。面白かったです。ただ、「僕は呟く」の繰り返しがちょっと気になりました。
●電話の向こう(一之江)
- なんだか素直にすごいと思ってしまう作品でした。こういうのが小説なのかな、とそう思います。
- 一之江さんにしては珍しく不可解な部分が残る作品でしたが、文章の流れが安定していて、安心して楽しめました。これからも楽しめる作品を読ませて下さい。
●訪問者(夜啼き鳥)
- ただ食事だけしていく、得体の知れない人という「謎」(非日常、と言い換えても良いですね)が、「日常」に収斂していくさまを淡々と語って妙におかしな、この作品が今回一番心に残りました。
- アイデアが秀逸だと思います。軽い違和感が前面に出されていて、主人の困惑が伝わってきます。会話の際の台詞回しも絶妙で、すっと入り込んでくる感じが良いです。面白く読めました。
●キレル・キマル(わーすけ)
- 面白さで言えば、てつや氏の『密室の謎』を推薦するところだけれど、わーすけ氏には志の高さを感じたので、今後も千文字小説に参加して欲しいという思いを込めて、彼の作品に一票を投じることにする。何が言いたいのか分からないという批判もあるが、それは上っ面だけしか読んでいないか、オチだとか笑いを求めているからだ。そうした批判をする人でも、氏の小説から滲み出る志の高さは認めるのではないだろうか。彼は自らの持つオブセッションにヴォイスを与えているのだ。確かにそれが必ずしも上手くいっているとは言えないから、物語の面白味には欠けるし、肩に力の入りすぎた箇所も見受けられる。しかしだからと言って、彼の作品を「つまらない」の一言で斬り捨ててしまうのは間違いだ。この作品は「オチ」とか「笑い」とかとは別の価値観で読むべきなのだ。
●SHIKA(逢澤透明)
- 佳品を読んだあとのじわりとくる感動がありました。字が読めなかったおばあさんの切ないやさしさも、長じてそれをしったときの主人公の心の動きも。他にもいろいろいい作品があって迷いましたが……一押し!
●もみじ君の冒険(DIPSY)
●推敲(しょーじ)
- 一番おもしろかった。最後の先輩刑事のセリフが効いていて良かった。他には、汚いけど見事な『噴出』と、『訪問者』にも不思議な魅力を感じました。ただ、今回はいい作品が少なかったような気がして残念です。
●ひかりの子(蛮人S)
- 奇態な出来事を奇態な文章で書くのが小説であると思っている作者が多いようです。もっと手紙に学ぶべきなのかも知れません。自分のもっとも愛することをもっとも愛する人へできるだけ分かりやすく丁寧に、伝えるのです。蛮人Sさんの小説はそのいいお手本かもしれません。
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆投稿された各作品・画像等の著作権は、それぞれの作者に帰属します。出版権はQBOOKSのQ書房が優先するものとします。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。