第59回1000字バトル結果

おめでとうございます!

今月は、越冬こあらさん『享年十八歳未満』がチャンピオンに選ばれました。
越冬こあらさんは通算2度目のグランドチャンピオンとなります。おめでとうございます。

エントリ作品作者得票
16享年十八歳未満越冬こあら 4
8爺さんと海と人魚の話スナ2号3
4おばあ様は魔法使い長田一葉2
6招待イシヅカレン2
15夏日松田めぐみ2
21花を抱えてるるるぶ☆どっぐちゃん2
7帰郷のぼりん1
13根絶治療ごんぱち1
18六畳一間の勇者のお話紅花花屋本舗1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

享年十八歳未満  越冬こあら さん
 
感想:読みやすかったし、良い話だった。
『雨粒』も良かったが、会話の“「 。」”が気になった。どっちでも良いのかもしれないが。
『帰郷』も良かったが、走っているのが高速道路なのか、幹線道路なのかが気になって、読み返してしまったので惜しかった。
『爺さんと海と人魚の話』も良かったが、最後の一行がもう少し違う何かだったら、投票してた。かなり惜しい。
『根絶治療』もかなり良かったが、僕としてはもう少し皮肉な終わり方が好み。華澄が課長を「毛嫌い」してた、っていう設定なら絶対投票してた。めちゃんこ惜しい。
票者:このバトルへの参加作者



感想:1000文字の中に、死亡→鏡化→数年の歳月→昇天という長い時間を描けていたところが良かったです。
最後の一行が効果的。家の外に始まり、家の中に入り、家の外で終わる。という構成が全体の収まりをよくしていました。
鏡になる、というのがポイントですね。
票者:その他のQBOOKS作者



感想:まずタイトルが好きだった。
読みやすいのに独特の雰囲気があるところも好き。
ちょっと『カラフル』を思い出した。
票者:このバトルへの参加作者


感想:今回のバトルは、全体的にとても楽しんで読めました。
最有力候補が、越冬さんとごんぱちさんでした。
ごんぱちさんの作品は、明るくてわかりやすくて大爆笑。こあらさんの作品は、じんときて、最後の一行に号泣でした。
QBOOKSで自然と笑ったり泣いたりしたのは久々だったので、かなり満足です。
で、笑いをとるか、涙をとるかで悩み尽くした挙句、個人の好みからこあらさんに一票入れます。
その他の候補は、長田さん、のぼりんさん、、紫色24号さん、紅花さん、土筆さん、アナトーさん、るるるぶさん、蛮人さん、伊勢さん、橘内さん。
ってかこれじゃほぼ半数ですね。とにかく、今回は全体的に面白かったです。
票者:このバトルへの参加作者



爺さんと海と人魚の話  スナ2号さん
 
感想:すんなり読めたので。
やっぱり最後は「アイ」かぁ。そうだよなぁ。
気を張って生きていればこそってこともわかる気がしたので。

票者:このバトルへの参加作者


感想:今回の作品の中で、一番ピンと来たので推薦しました。
語り調がユーモラスで、私が好きな雰囲気だった、っていうのが大きいのだと思いますけど。
 物語はありがちながら、それをシニカルに描きつつ、少しのおどけが混じっていて、選ぶならコレだなあって思わされました。
是非とも次も頑張ってほしいです。
票者:このバトルへの参加作者


感想:全体的にテンポがよく、内容もおもしろかったです。
「カネ」「アイ」とカタカナを使ったのも、よく響きを吟味されていて良いと思いました。
ただ少し述べさせていただけるのなら、ステキな題名ですが「海」を入れる理由がよくわからなかったかなぁ、と。まぁ響きだけを重視するのならば入れてもかまわないとは思いますけど。
それと結局おじいさんが人魚と一緒に外国に行って死んでしまうというくだり。あまり必要なかったかなぁと。おじいさんが主人公に人魚の世話を頼んだ、というのをラストにしたほうがおじいさんのアイが品良く余韻に残るのではないかなぁ、と思いました。


票者:このバトルへの参加作者



おばあ様は魔法使い  長田一葉さん
 
感想: あいにく、今月は好みの作品が少なかった。例えば何かが劣っているのか、それが単なる趣味の問題なのかは判断に迷うところなので、あんまり心踊る作品がなかった、というコトなのである。
 じゃ、1000字小説としてよく出来ている作品はどれですか、という話だと蛮人Sさんと長田さん、ということになる。で、どっちがより好みかといえば、長田さんなのであります。次点は蛮人Sさん、越冬こあらさん。
 今回、一体どれがチャンピオンになるのか、楽しみなバトルではある。(O MAke_B)
票者:純粋読者


感想:全体にこざっぱりと纏まった作品が多かったような印象。
そうなってくると、オチでいかに発展性を提示しながら締めくくれるか――だと思うのですよ。
ということで、「指先の銀河」と迷って、こちらに一票。

票者:このバトルへの参加作者



招待  イシヅカレンさん
 
感想: 技術的にはあまり上手じゃない気もするし、なんか詩に片足突っ込んでるのも気になりますが、しかし最も印象に残ったのはこの作品でした。閉塞的な表現からの虫たち開放感が美しくて爽快で、そしてそれを受けての「僕だってきっと今なら、全力で走っても一匹も虫を踏み潰さないで走れるんじゃないかな……」という台詞もよいです。これは言い換えれば人間との決別であって、「黒い森の出口」だという冒頭の説明と相まって、本質的には単なる夢のような爽やか話ではないことが感じられます。

票者:このバトルへの参加作者



感想:今回は本当に面白かったなあ、という印象。3、6、8、9、11、13、16、17、20、24。ざっと選んだだけでもこれだけあります。その中で、うーん、迷いに迷って、6番さん、イシヅカレンさんで。イシさん、これからも頑張って下さい。
票者:このバトルへの参加作者



夏日  松田めぐみさん
 
感想:この方の作品にはある意味いつも根底にあるものだが、さっ、さみしい。その寂しさがなぜか妙に分かる今日この頃。これにします。
票者:このバトルへの参加作者



感想:風景画の見れる作品で良かったと思う。
票者:このバトルへの参加作者



花を抱えて  るるるぶ☆どっぐちゃんさん
 
感想:「おばあ様は魔法使い」長田一葉
わりとイイ話だな。うん、わりと。婆ちゃんは、主人公のイタズラに前もって気付いていたんだと考えると、何でもない話。何でもないというか、大学生になっても主人公は、やっぱり婆ちゃんにびっくりさせられてるってところが、なんかイイ話だなあ。

「雨粒」マリコ
「ジジイもの」のエエ話やなあ。俺、こういうボケ老人風の人が真理のようなことを言う類の話に弱いからなあ。

「招待」イシヅカレン
無数の虫たちが嵐のように舞う風景のただ中にいる主人公という「絵」を見せることがこの作品のモチーフなら、主人公はもう少し控えめな方がよかった。主人公があれこれ「喋り」すぎると、せっかくの「絵」がボヤける。だいたいそうなる。逆に、主人公がし「喋り」まくって「絵」を作るってこともできる。どっちかにすれば、よくなると思った。

「根絶治療」ごんぱち
主人公の脇の下の皮膚と、課長の禿頭の皮膚を交換移植したわけね。

「享年十八歳未満」越冬こあら
ええ話やあ。
荒唐無稽で、且つイイ話。
しかも全然説教臭くならないし、読んだ後に「あー、はいはい」ていう風にもならない。

「花を抱えて」るるるぶ☆どっぐちゃん
めずらしく「普通」な小説。普通な小説でもやっぱり地力を感じるなあ。
ペンネームはフザけてるけど、この人の力量は相当なもんだな。
こういう「普通」な作品を読んで、改めて思ったよ。

「梅雨が来た」蛮人S
なんで休むか! 7月のネタが思い付かんからか? 

まず、上から順番に読んでいって一作品読むごとに簡単なコメントを書く。で、全作品を読んだら、自分の付けたコメントを読み返して、半分くらいはふるい落とす。残った作品を読み返して、コメントを付け足したり、書き直したりする。この時にまた、ふるい落とす。毎月殆どそういうふうにやってる。今回は一作品(「招待」イシヅカレン)だけふるい落とさずに残しておいた。たまには「余計なお世話だ!」的な感想を載せてもいいだろうと思ったから。

で、今月で言えば、「根絶治療」「享年十八歳未満」「花を抱えて」「梅雨が来た」のどれを選ぶかは、もう趣味の問題でしかないわけで、オレとしてはやっぱり「花を抱えて」るるるぶ☆どっぐちゃんさんになるわけです。

(アナトー)
票者:このバトルへの参加作者


感想:締め切り前日&締切日に駆け足で読み通しましたが、
今月は面白い作品が多くて、悩みました。
その中から頭一つ抜けていたのが「花を抱えて」。

「二人で暮らすようになると安酒にはとても耐えられなくなってしまった。」
で始まるパラグラフが、素晴らしかったです。
こういう感慨は誰もが持ってるかもしれませんが、
なかなか気づくものではありません。
それにきちんと気がついて、自分の言葉で文章にするのは、
なかなか出来ることではないです。

でもって、そんな「私」が注文した高級であろう酒を
「ワイン」で済ましているあたりがすごく好きです。
ここで、高級ワインの具体的な銘柄が出てきたりすると
知識をひけらかされてるような気がして、
私としてはすごく興ざめなのであります。

他によかったのは
「爺さんと海と人魚の話」、「好きだケロ」、「夜の底の澱に沈んだ」、「夏日」、「享年十八歳未満」、「空と方向」、「六畳一間の勇者のお話」、でした。
いずれも読みごたえがあって、楽しませていただきました。
(カピバラ)




票者:その他のQBOOKS作者


帰郷  のぼりんさん
 
感想: 深夜のドライブに男の顔。ありがちな怪談話と思ったが、何だか本当に恐くなった。首だけが帰郷することを暗示するエンディングも恐かった。
票者:このバトルへの参加作者



根絶治療  ごんぱちさん
 
感想:今回は7番さんとごんぱちさんで迷ったのですが、『半分スキップっぽく』という表現がどうも印象に強くて、『根絶治療』に投票します。
票者:このバトルへの参加作者


六畳一間の勇者のお話  紅花花屋本舗さん
 
感想: 一人暮らし始めた時って、結構こういうハイテンションかも知れないなぁ。
 大学で、初めてあの部屋に入った時は――そうそう、荷物が届いてなくて、「おいおい夜どうするよ?」とか思って、浸る間もなかったけれど。

 ミミックだった、は、オチとして悪くないけれど、具体的に何だったかが分かると尚良かったですな。今後に期待の一票。
票者:このバトルへの参加作者