≪表紙へ

1000字小説バトル

≪1000字小説バトル表紙へ

1000字小説バトルstage3
第15回バトル 作品

参加作品一覧

(2010年 10月)
文字数
1
小笠原寿夫
1000
2
Kuro
930
3
(本作品は掲載を終了しました)
ウーティスさん
4
ごんぱち
1000
5
石川順一
1019

結果発表

投票結果の発表中です。

※投票の受付は終了しました。

  • QBOOKSでは原則的に作品に校正を加えません。明らかな誤字などが見つかりましても、そのまま掲載しています。ご了承ください。
  • 修正、公開停止依頼など

    QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

白虎竹
小笠原寿夫

 落語とは、落とし話とも呼ばれる一人芸である。そこに見え隠れする人間の業を肯定するもの。知っての通り、酔った客にどんでん返しを咬まし、それを以て話のサゲとする伝統芸能。

 おっさんが立っている。いかにもその白い壁面に吸い付くように。その佇まいは、云うまでもなくシャッターを切った本人を信頼しきっている。

 女の下着姿は首から上がフレームに収まっていない。この写真は、どこで誰が撮影したものかは定かではない。

 この二枚の写真を皮切りに、映像は流れゆく。

 箸と茶碗を出囃子に見立て、ワンマンショーが始まる。
 神戸の風景と鏡に写った私の顔に『あほ上手』といったテロップが流れ、いざ本番。
 第一の演目は、「寿限無」。開口一番とも謂われるこの演目は、長い名前をつけられた子供の話である。そこに一切、寿限無は登場しない。ただ寿限無の周りの人間がオロオロするばかり。当の本人は、部屋に閉じ籠り、出てこない。
 長雨の降りしきる中、続いての演目は「奈良の柴漬け」という創作落語。御隠居に飯を食わせてくれと、嘆願にいった喜六が、御隠居との遣り取りの中で、高級キャビアの味を口で表現してくれと申し出る。そこで御隠居の口をついて出た言葉とは?
「今度は熱ぅ~い……」
 紅葉が咲きほころぶ中、続いての演目は「愛宕山」。
 山登りをして神社にお供えものをしようとする二人の男が、二十両という大金を崖から落としてしまう。するりするりとロープを下ろし、男が二十両を拾いに行く。果たして、この男の運命とは?
「わ、わ、忘れてきた」

 熊の鮭取りの映像が流れ、続いて、「雁風呂」。
 宿屋で道中師の二人連れが、竹の下に松の葉が落ちている屏風の絵を見る。不思議そうに見ていると、そこへやって来た別の二人連れ。この屏風の絵解きを始める。将軍様に借金があった時代の話。
「あ~れ~金たまどこへやったかなぁ?」
 渡り鳥が湖の上を飛びながら、最後の演目は「木乃伊取り」。
 女郎屋に通い、帰ってこなくなった若旦那を連れ戻すために次々と店の者が、そこに足を運ぶ。定吉が行き、番頭が行き、女将が行き、最後は婆さんまでもがしゃしゃり出る。最後に待っていた結末やいかに!?
「シューッと布団をめくりますというとぉ~ぉ、旦那も雪駄履いて寝とりました」
 アパートの映像が映り、桜の木の枝が映し出された頃に、映し出された人物こそ、名前こそ明かせないが、名こそ流れて名を聞こえけれ。
白虎竹 小笠原寿夫

One Room101
Kuro

私は一人だ・・・

このマンションの101号室でもう何年も一人だ。

寂しい・・・そんな気持ちももう色褪せてしまっている。

住み始めたころは、まだ私もかわいかった。

ぬいぐるみをベッドに飾ったりした。

でも、ぬいぐるみが褪せていくのを見るとだんだんそれが自分のように思えてきた。

だんだん見るのが辛くなって・・・捨てることにした。

捨てる時、ぬいぐるみと目があった。

悲しい目をしてた。

「あなたは自分で自分を捨てるのよ・・・」って言われてるようだった。

私は呟く・・・「私も捨てられるもんなら、捨てたいわよ・・・」

次の日の夜、ゴミ捨て場の前に女が座り込んでいた。近づくと女は昨日捨てた私のぬいぐるみを持っていた。

「あっ・・・」

女は立ち上がって私のほうを見た。

「ダメだよ・・・ぬいぐるみは粗大ゴミなんだから」

私は女が持っているぬいぐるみに「粗大ゴミ」ってシールが貼られていた。

「す、すいません。」

女はぬいぐるみの頭を撫でながら「かわいそうにねぇ~」と話しかける。

そして女はぬいぐるみを私に渡そうと前に差し出した。

私が受け取ろうとすると、いたずらのようにそれを引っ込め、ぬいぐるみに貼られた「粗大ゴミ」のシールを

私のおでこに貼って通り過ぎた。

「な、なにを・・・」

女は歩きながら振り返る。

「自分を捨てたんだろ?」

「えっ?」

「捨ててみなよ、一回全部さ・・・捨てる神あれば拾う神ありってね・・・」

女はそう言ってマンションの角を曲がった。

「ちょっと!!待ちなさいよ!!」

私はそう言って追いかけたが、曲がったところで女の姿は消えていた・・・

「粗大ゴミ」のシールは私のおでこでヒラヒラしていた。

私は振り返り、トボトボとゴミ捨て場まで戻っていた。

『一回捨ててみれば??』

女の言葉が響く・・・私はゴミ捨て場になっている電柱にもたれ座り込んだ。

何時間いたんだろうか・・・ふと空を見上げる・・・今日は満月。

「フフフッ・・・捨てれるわけないか・・・」

私はフラフラと立ち上がり、部屋に戻る。おでこのシールがヒラヒラ揺れる。

部屋に戻り電気を点けるとベッドにちょこんとぬいぐるみが座っていた。

「あっ・・・」

色褪せたぬいぐるみ

“おかえり”

私はほほ笑む・・・

「うん、ただいま」
One Room101 Kuro

(本作品は掲載を終了しました)

楽の絵に帰す
ごんぱち

「おい、田代が言ったんだけどよー! 夜中に音楽室のベートーベンの絵が瞬きするんだってよ!」
「マジかよ、田代!」
「すっげー、見てみてぇなぁ!」
「行ってみるか!」
「や、やめとけよ」
「勝手に入ったらダメなんだよ、男子?」
「危ないよー」

「――で、どうだった?」
「全然動かなかったから、落書きしてやったぜ。ほら!」
「あ、ホントだ!」
「あははは、ひどいヒゲ!」
「なにやってんのよー」

「はあいキミタチ、今日もムジークを楽しみましょう……む!? むむむ?」
「ぷっぷっ……」
「くすくすくす……」
「誰だああああ、滝廉太郎の肖像画に落書きしたヤツはぁぁぁ!」

「――って事があったろ、四谷」
「懐かしいな、小学校の頃だったか……それがどうかしたのか? 蒲田」
「お前、どうして間違えた? よりにもよって、ベートーベンと滝廉太郎を」
「こ……子供だからだよ。音楽家の顔なんて知らないだろう?」
「滝廉太郎は二十三才で死んでいる。あそこの肖像画のベートーベンは五十才を超えていた。他の誰かと間違えるにしても、滝廉太郎と間違える事はあり得ないのだ。お前は、わざと間違えたのではないのか? 何かを隠し、もしくは、守る為に」
「……ふ、ふふ、そこまで分かってしまっていたとはな。そうだ、あの時オレは、いや、オレたちは、敢えてベートーベンを避けた」
「それは、何故?」
「肖像画の噂を言い出したのは、田代だった。クラスでも目立たない存在だったあいつは、いじめの前段階であるからかいの標的になりつつあった。そんなあいつが、話の弾みで言わされたのが、あの怪談話」
「そうだった、のか?」
「これでベートーベンの噂に何の根拠もないと判明すれば、田代はウソつき呼ばわりされ、そのまま本格いじめに突入だ。それは防ぎたかった。学校に忍び込んだヤツら全員同じ気持ちだった」
「そんな事が……」
「だが、個々が義憤を抱いていたとしても、多数の流れに逆らう事は難しい。正攻法では、自分が標的になる。だから」
「敢えて肖像画を間違えて見せる事で、怪談話の真偽をうやむやにしつつ、話題を根本的にすり変える、そういう事か」
「ああ。その為にオレたちは決めた。ベートーベンを避けて、バッハの肖像画に落書きをしよう、とな」
「間違えてるじゃん、すっごい間違えてるじゃん! バッハ、ベートーベンより日本人離れしてるじゃん!」
「いや、だって、オレ、音楽家の顔とか知らないし」
「原点回帰したーー!」
楽の絵に帰す ごんぱち

昔と今
石川順一

 私の小学生の頃の綽名は「マーラー」だった
 これは絵のうまかった私に私の悪友がつけてくれたものだった。
 気障な奴だった。親父が大学でドイツ文学を教えて居り、何かにつけてドイツ語を言っては級友たちをケムにまいていた。
 「マーラー」がドイツ語で画家を意味するから、私には件の綽名が付いたのだが、他にも、
 「00ケアって00の部分がドイツ語だろ。だからドイツ語と英語がドッキングした名称なんだ」
 とか、
 「オナニーってドイツ語なんだ。「ニー」の所にアクセントがある。オナ「ニー」ってほら言ってみな」
 ってな具合。調子に乗って「オナニーと何時までも」と加山雄三の歌をもじって言って居たが、それでは文字数が合わねーなーと言ったかと思うと、じゃあ、「おな」を取っちゃおう、そうすりゃ、2文字で「君と何時までも」と合うわな、だから「ニーと何時までも」だと悪友は得意気だった。
 屁理屈ばっかでドイツ語ばっかで気障だったので友人は少ない様だったが私は、好きだった。淡い恋心と言えようか。私はその後堕落して行ったから、まだ小学生時代は健全な学問の徒と言うか可能性に満ちた前途有望な少年だったのだ。


 私は父と母の3人で岩倉市八剣町長野にあるピアゴ八剣店へ父の車で行った。
 本屋へ立ち読みへ行く前に、すがきやで少し休憩する事になった。
 すがきやはラーメンで有名だが、ラーメンでは無くあんみつなどを食べる。
 手が少しべたべたして居る様な気がしてトイレで手を洗ってから本屋へ行った。
 

 私は父と母の三人で養老の滝へ行って句を詠んで来た。そしたら翌日たちの悪い口内炎にかかった。と言うと大袈裟かも知れないが、痛みの程度が明らかに違うので分かる。あくまでも個人的な見解だが。
 

 しかし悪いことばかりじゃ無い。養老の滝へ行って来た翌日、何とオンラインサッカーゲームが出来る様になった。
 登録したんだから当然かも知れないが、無料ゲームだし、登録後、コンポーネントがどうのこうのと表示されてゲームを始められずに居たのだ。あくまで登録してから3日か4日ぐらいしか経って居なかったが。
 今日結構時間掛けてやって見た。(初めての昨日はほんのちょっぴり)J1のチームには全然勝てないので、J2ばっかと試合。それでも勝てないチームがある。1回勝つと同じチームからは何べんやっても800ポイント若しくは1500ポイント貰えないのでやるだけ無駄だ。ポイントがたまったので、トレーニングさせた。