ウエンディーが電話を取るとあしながおじさんからだった。
「至急お金が欲しいんだけど、お・か・ね、マネーね。ゲルト、マネーだよ」
ふー、これで何度目か。ウエンディーの事をどうやら、OOディー・Oボットと勘違いして居るらしい事は別に腹が立たなかったが、普通あしながおじさんの方がお金くれなきゃね。
「あのさー分かって居ると思うんだけど、普通、物語ではあしながおじさんの方が正体を隠してお金をくれる事になってるんだけど」
「分かってる分かってる。でもこの役をやり始めて既にどれだけの月日が過ぎた事か、好い加減あきてきちゃって、て言うか実はそれは口実で、ただ単にお金が無いだけで。分かって下さい」
と言ったかと思うとあしながおじさんは「涙で文字がにじんだなら分かって~~~下さい」と歌謡曲を歌い始めた。
「困ったなあ、今父も母も出払って居ないんですよ。また後でかけて欲しい所ですが・・・・」
「うーむ、ふむ、誰も居ない。君の後援者諸君が誰も居ないとは、こっちの方こそ困った」
「あのーところで私の名前はウエンディーなんですけど。あのーつまりOOディー・Oボットでは無くてですね、実に単純な事実の問題だと思うんですけどあなたはつまり、そのー」
「君はこの忙しい時に私にOOやOに入る文字を答えろと言うのかね、全く何で伏字にするのだ?恥ずかしい名前かね」
「いえいえ、そういう問題では無くてですね、伏字にしたのは少し不味かったかも知れませんが、それはあなたがまさかそんな基本的な事も知らずとはとても思えず、勢い遠慮気味になって仕舞いまして、もし御承知であれば、こんな分かり切った事、何か失礼にあたる事もあろうかと思いまして」
「そう言う君の方こそOOンディーだ。どうせO-ターOンとか言う物語のヒロイン気分なんだろう。私はそんな事に附き合っている暇は無いのだ」
「あらあなたの方こそOOながOOさん中の主人公きどりでなくて?おまけに自分の都合のよい方に設定まで変えて」
「分かりました。もう頼みません。私の頼みをあなたは伏字で返した。かくなる上はもう頼みません。ですがあなたはO-ターOンに出演できなくなりますよ。よござんすか」
「よござんす、とは言えません。ですが何時の日かあなたにも栄光の時が来ますように陰ながら願って居ますわ」
「ふん、願うぐらいネコでも出来るわ。しかし実現しないと意味が無いのです。あなたもしかとその意味を噛み締めて下さい」