駐車場の鳥は顎が外れ今にも微かな脱糞をせんとして居る所だった。
祈祷師はふー間に合ったと駐車場に辿り着くと鳥を急いで保育器に収容した。鳥の顎が外れ、不自然な脱糞で鳥の肛門はかなり損傷して居たが、そのままほったらかしにして居たら絶命して居た所だった。
鳥の保育器では天然の自然で最も生物の気を高めると言われる、オゾンデスを発生させ続ける事が出来る。
鳥の出血を最小限に抑え、精神的にも活性化させる事により、鳥の致死をなるべく遅らせる事が出来る。その間になんとか治療出来ないだろうか。祈祷師の気は急いて来たが、急ぐ必要があると共に、急ぎ過ぎての荒療治は却って鳥の致死を早めて仕舞うかも知れない。慎重かつ大胆な治療を祈祷師はしなければならなかった。
治療と言っても祈祷師には医学的な治療は出来ない。お祓いや除霊術などを駆使して鳥の気を高めて鳥の自己治癒力にかけるしかない。
そこへ都合良く鳥専用の治療車もやって来てくれた。
「へっへっへへ。虚報の祈祷師さん、今日はいの一番にやってきやしたぜ」
「虚報は余計だ。今は一刻を争うんだ。神の鳥が虫の息だ。早く車を出してくれ」
「分かりやした。それなら話が早い。さあ行きますぜ」
治療車の運転手ゴローは車を発進させた。
やって来たのは国立鳥獣保護センター。ここの神の鳥専門の医師カルパッチョさんの治療室へ鳥を運び込んだ。
「これはひどい。しかもひどいだけでは無くて複雑微妙な症状も呈して居る。この鳥は顎が外れて肛門が破壊されているだけではありませんよ。この鳥は世界で3症例しか確認されて居ないと言うゲルググ病に侵されている。これは少し困りましたな。ここは国立だけあって最新の治療設備や治療補助具がそろって居る。鳥専用の人工肛門だって鳥専用の人口顎関節だってあります。でもゲルググ病の治療方法だけは確立して居ないのです。ゲルググ病は不治の病では無いのです。私が最初に複雑微妙だと言ったのは、このやまいにかかった鳥は癌の治療薬の開発につながるエキスを含んだ糞を脱糞してくれうようになるのです。しかし何回かに1回の割合で人間にとって劇毒薬である成分を含んだ糞も脱糞して仕舞う。しかしその成分が治療薬につながるエキスなのか劇毒薬なのかの判定が非常に難しいのです。その判定は鳥の症状によって判断しなければならないのだがその判定が複雑微妙にならざるを得ないと言う点でもう本当に複雑微妙なのです」
果たして神の鳥は助かるのか、そして癌の治療薬開発と言う奇跡は起きるのだろうか(続く)