「で、カルパッチョさん、結局のところ神の鳥は助かるのでしょうか。このさい癌の特効薬とかはどうでもいいですから」
「ナニ?、どうでもよく無いでしょう。人命ならいざ知らず、ここ、国立鳥獣センターは人類の医学に貢献しない様な案件は初めから却下される事になって居るんですよ。神の鳥だけ特別扱いする訳にはいきません」
「しかしこの神の鳥は・・・」
「分かって居ます。あなたの言いたい事は。死んでしまっては癌の特効薬も出来なくなってしまう。癌の特効薬をとる為にも神の鳥を死なせてはいけないではないかとそう言いたいのでしょう。実は神の鳥は死んでも癌の特効薬につながる腸内物質を分泌し続ける性質を持っているのです。これはあまり大きな声では言えませんが、むしろ神の鳥は死んだ後の方が癌の特効薬につながる腸内物質をより多くより良質なものを出すようなのです。あくまで噂ですが。しかしこの噂はただのちまたの噂では無くて、かなり信憑性の高い噂でして。つまり国連癌研究センター動物部門鳥類専従教室が出所なのですよ」
「それでは神の鳥の命は保証できないと言うのですか。むしろ亡くなったほうが人類に貢献するとでも」
「そこまでは言って無いでしょう。あくまで癌の特効薬に限った噂です。あなたは何故その鳥が神の鳥と言うか知って居ますか。人類への貢献度が著しく高いからなんですよ。当然癌の特効薬以外にも貢献するのです。ですから癌の特効薬の場合は確かに死んでしまった方が貢献するかもしれませんが、それでは他の貢献領域を駄目にしてしまうからトータルで駄目でしょう。それにたとえ確度の高い噂とは言えあくまで噂なんですから。そんなのに振り回されてほとんど手つかずの素晴らしい領域を駄目にしてどうするんですか。勿論私が癌の特効薬に拘って見せたのは軽い冗談みたいなものです。あなたがたが本気でこの神の鳥を助ける気があるのか試した様な物ですよ。と言うのはこの鳥の掛かって居るゲルググ病は治療者だけが頑張ってもとても治らないのです。あなたがた付添者の協力が不可欠なのです。」
「しかし我々に何をしろと。私は加持祈祷しか出来ないし。ゴローは車の運転しか出来ないし」
「あなたがたの社会的身分は関係ありません。しかしあなた方の協力が不可欠なのです。絶対に必要なのです」
「じらさないで教えてください」
「分かりました。あなたのこの神の鳥を思う気持ちが本気だと分かったのでお教えしましょう」(続く)