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1000字小説バトル

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1000字小説バトルstage3
第71回バトル結果

おめでとうございます!

今回のバトルは叶冬姫さん『百年の庭』がチャンピオン作品と決まりました。投票、感想ありがとうございました。
なお、お二方より全感想をいただきました。皆さまご覧いただければと存じます。

投票結果
得票数 
1
青野 岬
1
2
小笠原寿夫
1
3
叶冬姫
5
4
サヌキマオ
1
5
ごんぱち
2
6
regret
咲 朝日
7
a light in the black
深神椥
8
蛮人S
1
9
狐と狸
田中貢太郎

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

百年の庭
叶冬姫さん

感想:
姉弟ものは、グッとくるものがある。あまりにも美しく書かれているので、完全に小説になっている。愛に満ち溢れた文章を書かれる作家さんだと思います。
日常と非日常が、見事に描きわけられているところが、ステキです。

サヌキマオさんのかな、と思いましたが、今回はコレ!
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
ごんぱちさんも面白かったので、悩みましたが、やはり叶さんのは文章が丁寧で、小説だと感じました。
投票者: 純粋読者

感想:
家族や兄弟姉妹だからといっても必ず仲がいいわけじゃないし、こじれたら大変。こじれる前に他愛もない話ですんで良かったと思いました。
投票者: 純粋読者

感想:
手入れが必要な鉢。
すっかり枯れたと思ったのに、根に水を与えると再び甦る鉢。
どちらもそれなりにあるような気がする。
後者は、互いにそう思っていなければならない訳であるが。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
よくまとまってる。いいね。
投票者: 純粋読者

ラーメンの構造とその運用に措ける
心理・病理学的諸問題
ごんぱちさん

感想:
面白い!この一言に尽きます。
会話主体で、テンポが良くて、小芝居感がありありに出てて、
それでいて、もうとにかく面白い!
いい先輩に恵まれてこの新人さんはすごい幸せですよね。
あまりの面白さにいお気に入り過ぎて上手く感想がかけてない気がします
が、投票します。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
会話文だけだと、話している人の感情や裏に含まれているものを伝わりにくいものですが、この話しは落ちでスパッと伝わってきたので、おもしろかったです。
投票者: 純粋読者

真夏の蝶
青野 岬さん

感想:
何だか懐かしく感じた。
勝手ながら、主人公は作者自身なのかなと思ってしまった。
私はそういうことはしょっちゅうですが。
投票者: このバトルへの参加作者

ひとり語り~タクシー編~
小笠原寿夫さん

感想:
1「真夏の蝶」
 観念的で美しい世界感が広がっております。ただ、これだけの急な展開に勃つだけ勃って、官能的なことがあって、シャワーを浴びたらいなくなってた、てぇんで気を取り直してすぐさまパソコンに向かえるかというとそうでもないと思う。最近のいろいろ乏しい男どもへの皮肉だとすると、ただのギャグになっちゃうしなぁ……。「新宿夕景」もそうだけど、書く男がみんなギャグパートの存在に見えてしまう。
 そう、あくまでも観念の産物でしかない。

2「ひとり語り~タクシー編~」
 これ、語り手は誰なんだろう? というところで少し混乱し、よくよく読むと咽頭がんで亡くなった噺家の息子であるらしいことがわかる。
 で、問題は「何で語ったか」なんです。この語り手(噺家の息子)が、(たぶん)見も知らぬタクシーの運転手に自分の親父のことを語る。なんでだろう、なんでだろう。「お客さん、最近死んだ***に似てるね?」「そうなんだよ、実はさ……」って、こうやって喋ったと推測すれば、話のつじつまは合うかしらん。が、あんまりいい性格をしていない。<授業料は要らないから。>あたりの偉そうさからすると、もうこの語り手も50代か60代くらいかな。
 咽頭がんで死んだ噺家というと最近は一人しか思いつかないんですが、それはさておき「語り手の人物が破綻していない」という点はOKと思います。面白いかどうかはさておき。

3「百年の庭」
 今までからすると、いきなりえらい綺麗になった。欲を言えば、1,000字でやる内容ではない。
 どうしてもQ界隈だと、1,000字に収めよう、ってコンパクトにすることに意識がいってしまいがちです。色々な注文を出されれば出されるほどきっちりオーダーに答えられる、非常に頭のいい書き手だとは思う。けれども、本分はやっぱり「いかに面白いか」だと思うんです。これ、さらに字数があったならば、もっともっと面白くできたでしょ、と思います。

4「蟲」
 久々にピタッとはまりました。

5「ラーメンの構造とその運用に措ける心理・病理学的諸問題」
 車輪の再発明? というところで思考が止まりました。しまったわからんぞ。
 ここでソクラテスとその弟子が「オチでーす!」って出てきてくれればいい(※)のだが、そういうわけにもいかず。
 ヰキペヂったけどスッキリとはしなかった。そう、この梅雨空のように……。

 ※古いG8先生の小説で、そーゆーのがある

6「regret」
 本作もまた観念の産物であることだなぁ(詠嘆)。
 ただ、観念やるならやるでもっと細部を書いてほしいわけです。もっともらしい嘘をついたらいいじゃない。もっともっと想像して「こういう世界を観て、かつ念いました」ってみーんなひけらかしたらいいじゃない。それにしちゃイメージが、ビジュアルがあまりにも、滲み過ぎてヘボい。服屋のバックに流れるJ-POPのインスト並みにうすらヘボい。
 そういう努力もしないで書き散らすと理解されないんだぞー。理解されないと共感されないんだぞー。

7「a light in the black」
 「このシーンのどこが面白いと思って書いたのか」というところに興味が湧くわけですが「バイト中にふと、修学旅行のことを思い出す、ひいては恋のかけらのようなものが脳裏に閃く」というのがいいところなんかな。多分きっとそうなんだろうなぁ。そう考えるとタイトルが効いてくるなぁ。すっごい勝手な解釈ですが。
 ただ「昔の甘酸っぱい思い出がふと脳裏によぎる」というのは誰にでもあるこったと思うン。冷静に考えると、思い出のモチーフとしてはベタなところから出ていない。「ふと脳裏をよぎる」以上の勝負をかけてほしいなぁ、と思うわけです。まーだ安全圏から書いてないかえ。及び腰。

8「ウツシの記録」
 史部についてはうろ覚えだったのでちょっとヰキペヂったんですが、「文筆専門職」とある。これもまた面白いところから題材を持ってきたな、って感心します。
 1000字ッたらこの容量よ、というお手本のよーな仕事。

 2、3、8で迷って、2が一番長く楽しめたので2に投票。
投票者: このバトルへの参加作者

サヌキマオさん

感想:
めずらしく?直球な奇譚です。そのまま読んでも良いし、集落の男の仕事ぶりが色々と考えさせられるのでお気に入りとさせていただきます。
投票者: このバトルへの参加作者

ウツシの記録
蛮人Sさん

感想:
ひと言感想
「 ひとり語り~タクシー編~」
好きな文体だけど、ちょっとオチがわかりにくかった。

「 百年の庭」
文学的で素敵。やや説明っぽいのが少し残念。

「蟲」
生理的にぞわっとする文章。ダイレクトに脳に響く感じ。

「ラーメンの構造とその運用に措ける心理・病理学的諸問題」
馬鹿馬鹿しいことを真剣に描く。ショート・ショートの王道ですね。

「 regret」
小説というより、詩や散文といった感じ。巧みな描写に引き込まれた。

「a light in the black」
ほろ苦い青春の一瞬を切り取ったような作品。

「ウツシの記録」
硬派な「遠野物語」っぽい。1000文字なのに情景が鮮やかに浮かぶ。

今回は内容、文体ともにとても好みだった、蛮人Sさんの作品に投票させて
いただきます。
投票者: このバトルへの参加作者