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1000字小説バトル

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1000字小説バトルstage3
第74回バトル結果

ざんねん

今回は投票が分かれてしまいました。一位作品の数が、その得票数以上となりましたので、規定により今回のチャンピオン選出はありません。次回にご期待ください!
今回、全作品への感想を四名の方よりいただきました。ありがとうございます。

投票結果
得票数 
1
サヌキマオ
2
緋川コナツ
2
3
小笠原寿夫
1
4
ごんぱち
2
5
深神椥
1
6
叶冬姫
2
7
獺(カワウソ)が自ら歌った謡
知里幸恵

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

不完全変態
緋川コナツさん

感想:
[1]磊 サヌキマオさん
何が伝えたいのかわかりません。これもシリーズ化してきましたが、いつもわからないがら独特の雰囲気があるのに、今回はそれが感じられませんでした。

[2]不完全変態 緋川コナツさん
幸せだったのでしょうか?と尋ねられたら幸せのだったのかなと思います。
卵を産んでるので大人になってると思いましたが、生殖できる=大人ではないとも思いました。蚕は完全に家畜化された昆虫です。最後の最後まで人に面倒見てもらえたので幸せなんじゃないかなという考えに至りました。ただ、もっと自分は蝶になったんだと思う子供特有の傲慢なくだりが欲しかったですが、今回はコナツさんに一票です。

[3]両踵複雑骨折による恩賞 小笠原寿夫さん
最期の落ちになぜとび職の方が出てくるのか伏線の部分がわかりませんでした。
関西人特有の「しょうもな」には笑ってしましたが、29にもなってこんな「しょうもな」する友人がいたら・・・困るなぁ・・・と思いました。困るといいつつ見舞いに行くんでしょうけど。

[4]透明薬屋 ごんぱちさん
落ちがわからなかったので「ナラナシ」という単語をキーワードに3時間ほどかけて、やっと「ナラナシとり」という民話に辿り着きました。私が不勉強なのかと思い、12人ほどの友人に「ナラナシとり」って民話知ってる?と尋ねたところ全員知らないという答えが返ってきました。落ちはメジャー級のものを使う方がいいと思います。

[5]今でも 深神椥さん
一番現実的な普通のお話だと思いましたが、最後の場面がどこかで読んだ印象を受けます。もっと、彼女の雰囲気などが伝わってくるような場面が欲しかったです。彼女が記憶の中にあり続けるほどの雰囲気が伝わってこなかったのが残念です。

獺(カワウソ)が自ら歌った謡 
ナラナシとりは」知らなかったのに、これはフルで知ってました。
アイヌ民謡は「この自ら語った」系は面白いですよね。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
 完全変態やないかい!

 それはさておき。

 一匹の芋虫に変じ、命を全うしたとて、蚕であれば農家の二階より高く飛ぶ事は出来ない。
 どんな鳥も想像力よりも高く飛ぶ事が出来ない、との一節があるが、これは無理をすると二通りの解釈が出来るだろう。限界を自ら決めるという意味と、想像力の広大さをの比喩と。当初、自分は前者と思い、その後後者かなぁと思い、そして今、やっぱり前者のような気がする。
 蚕が高く飛べぬとて、それがなんであろうか。吐いた糸一本が、一枚の下着になり宇宙飛行士の旅の供になるかも知れない。竜巻の随分と激しい日、蚕を飼う家ごとオズの国まで飛ばされるかも知れない。
 そもそも虫である事すら軽々と抜け出す可能性すら、あるのだ。
投票者: その他のQBOOKS参加作者

透明薬屋
ごんぱちさん

感想:
「不完全変態」
 いつになく丁寧な描写でええなぁ、と思いながら読んでいたが、一心不乱に卵を産んでおいて「大人になりたくない」とはなんじゃろうか(哲学)。
 責任を取ることもなくこどもをこさえつづけるヤンキーへの皮肉だと受け取ろうとしましたが無理でした。

「両踵複雑骨折による恩賞」
 話の筋はブツブツでも云わんとしているところは伝わる、小説。もっと意図的に、計算ずくで「読者の想像力に行間を埋めさせる」という手法はあるが、こちらは必死に書き留めていった断片、の生々しさを感じる。

「透明薬屋」
 「透明になる」のパターンを集めて持ってくる着想は「あ、やるぅ」と思った。冷静に考えると、白の点線で自分の姿が常に表示される透明薬に何の需要があるのだろうか、とか考えだすのだけれども、これは一回だけでも勢いで読む側を巻き込んで逃げ切った書き手の勝ちだろうなぁ。

「今でも」
 1000字小説という媒体の中では過不足なくまとまっておる。ああ、まとまっているなぁ以上の感情が浮かばないのは、作者の方の心づもりとして「諸行無常だなぁ芋でも喰わう」なのか「ああ、元カノとはいえむっちゃ悲しい!」なのか。語り手は語った先に何を伝えたかったのか、と、その辺だと思う。気の短い人なら無言でどついてくるぜ。

「風を、切る」
 海辺でこのふたりをぼんやり眺めながら第三のビールをちびちび飲んでいるおっさんの気持ちで読みました。
 だいたいこのシチュエーションを作ってふたりで逢ってる時点で、だいたいはもう覚悟は決まってますよねゲヘヘへ。
 ただなんかなぁ、やっぱりどっかシチュエーションに酔っているだけなんだよなぁ。その辺の恋に恋してる感じが読んでて愉快でない。

「獺(カワウソ)が自ら歌った謡」
 「にくらしい扁平頭」いいなぁ。で「中の人など居ない」とか云うわけですよね(かわうそが異なる)。

 複雑骨折と薬屋で悩んだがうまいこと巻き込まれたので薬屋の勝ち。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
正直、今回はコレという作品がありませんでした。
この作品は返しが笑えたので……。

最近、知里幸恵さんを知る機会があったので、まさかここでお目にかかれるとは驚きました。
投票者: このバトルへの参加作者

風を、切る
叶冬姫さん

感想:
迷いながらも凛とした少女と、ただただ愚直に真っすぐな少年。人は恋をする、誰かを思う。あと、すごく景色が雰囲気あっていいと思いました。
投票者: 純粋読者

感想:
今回はちょっとわかりづらかったかも。
他にいいのがなかったので消去法で投票-。
投票者: 純粋読者

両踵複雑骨折による恩賞
小笠原寿夫さん

感想:
なんだかよくわからないけれど、得体の知れない吸引力がある。
ちょっとクセになりそう……どうしてくれよう(笑)
いつもながら、タイトルも素敵でした。
ってことで、今回は小笠原さんの作品に投票させていただきます。

「磊」
パソコン教室かよっ!(笑)
面白かったけれど、なんかこう、手慣れた感が鼻につくような。
それが味や個性というものなのかもしれないけれど。

「透明薬屋」
読んでいて、思わずにやりとしてしまうことが何度かありました。
ショート・ショートのお手本のような作品です。

「今でも」
昔、好きだった人のことって忙しさの中でだんだんと忘れてしまうものだけれど、
死んでしまったら、永遠に胸に刻まれることになるのでしょうね。せつない、です。

「風を、切る」
>こんなに大きかったんだ、と彩花はぼんやり思った。

少年の腕の中にすっぽりと収まってしまう自分に驚く。
このシーンいいですね。
終わり方が淡く、瑞々しい感じが良いです。  
投票者: このバトルへの参加作者

今でも
深神椥さん

感想:
1.磊
定番を作るという発想は、ありかと思います。
読んでいて、気持ちよかったです。

2.不完全変態
蚕をモチーフにつかうところは、流石ですね。知識と技術に裏打ちされた文章だと思いました。

3.両踵複雑骨折の恩賞
思い出して、書きました。

4.透明薬屋
屋をつけるだけで、何故かコント風になるんですね。かっちりとしたネタを書かれる作家さんだと、思います。

5.今でも
微妙な言葉のやり取りや、心理描写が、上手に描かれていますね。
絵が浮かんできたので、技量とタイミングが、バッチリ合ったのだと思います。

6.風を、切る
うまいな、と思わせてくれました。こういう光景は、今でもあるのでしょうか。状況や設定の使い方も、うまいと思いました。
投票者: このバトルへの参加作者