第2回1000字小説バトル
Entry26
君が何か美味しいものが食べたいって言うから僕は内心ガッツポ
ーズ。ここで君のほっぺが落ちちゃう程うまい物を食べさせればオ
ーケーな訳。だから君の大好きな、チーズを使って最高の料理を出
してくれるお店を見付けておいたんだ。
僕は馬鹿だから君に色んな物を押し付けてしまったね。ペンダン
トとか色鉛筆とかオレンジ色のバラだとか。君にしてみればただの
迷惑だったかい。でもね。どうすれば君が喜んでくれるのか、ああ、
僕には判らないんだよ。
君と食事をしていると何でも美味しくなっちゃうから自分のほっ
ぺにも気をつけなきゃな。男がちょっとやそっとで嬉しがっちゃい
けないだろ。フォークが君の口に運ばれる間の長かったこと。
君の左ほっぺが重力に耐えきれなくなって垂れ始める。もう少し
だ。ほっぺの塊と顔を繋ぐ皮膚がみるみる細く、長く、色を失くし
ていく。自分では見られないかも知れないけどヨーヨーとか振り子
みたいだよ。
そうやって君がゆっくりと味わっていると、ほっぺが落ちた。も
う完全な球体になってテーブルに弾んでいる。
顔にも落ちたほっぺにもほんの小さな跡が残っているけど、そん
なのはすぐに消えちゃうんだ。君はやせっぽち。小さな頬実。
君が目を閉じているうちにそっとポッケに。ドキドキしながら肌
触りをポッケの中で楽しむ。
今僕のほっぺも緩み始めてはいないかな。気付かれてしまう気が
して、何だか恥ずかしいよ。
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