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第3回1000字小説バトル
Entry13

四季についての考察

作者 : 川島 圭
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「オレ、冬嫌いだ」
 にきびでいっぱいになった顔をちょっとしかめながら、りょー君
が言った。
「なんで?」
 マッチは気になって聞いてみた。
「だって寒いじゃん」
 マッチはちょっとあきれた。なんでりょー君はこんなに単純なの
かな。
「あのね、冬がなかったらりょー君コタツにも入れないんだよ。雪
合戦もできないし、おもちも食べらんないし。りょー君おもち好き
でしょ?」
 マッチが説得に入る。マッチは冬が大好きなのだ。
「うん、そりゃ好きだけど」
「ほら、じゃりょー君冬好きじゃん」
「うーん、かもしれないな」
 りょー君はいつもこうだ。大胆なことを言ってはすぐにマッチに
説得されて、あっさりと意見を変える。
 りょー君はマッチよりもずっと体が大きい。顔も大人っぽい。そ
れに比べてマッチは体もちっちゃいし、童顔だ。けど考えることは、
マッチのほうがずっと大人なのだ。掃除当番の時だって、りょー君
はいっつもサボろうとする。そのたびに学級委員長のマッチがりょ
ー君をしかるのだ。
「りょー君どの季節が一番好きなの?」
 マッチの質問に、りょー君は待ってましたとばかりににっこり笑
って答えた。
「春と秋だよ。あったかいからね」
「けどさ、春には花粉いっぱい飛ぶし、秋には読書感想文書かされ
るんだよ。僕はあんまり好きじゃないな」
 りょー君は考えこんでしまった。りょー君は春にはくしゃみばっ
かりしているし、秋になるとマッチに読書感想文見せてくれと頼む
のだ。
「うーん、あんまり好きじゃないかもしれない。オレ花粉症だし読
書感想文大嫌いだもん」
「でしょ」
 りょー君もやっと分かってきたみたいだ。
 マッチはもひとつ気になって聞いてみた。
「りょー君夏好き?」
 りょー君はちょっと難しそうな顔をした。
「嫌いだな。だって暑いもん」
 やれやれ。






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