インディーズバトルマガジン QBOOKS

第3回1000字小説バトル
Entry14

写真と寝言とエレキング

作者 : 川島 圭
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文字数 :
 私は変わったものを写真に撮るのが好きだ。つぶれた空き缶、
「青々ストアー」のチラシ、猫の箸置き、しましまのくつ下の片方、
などなど。私がこういうものを撮っていると、夫がいつも言う。
「お前、変なやつだなー」
 どうもピンとこない。変な写真撮ってるからって、なんで私まで
変なやつだと思われなきゃいけないのかしら。まったく。変な食べ
物が好きでも普通に生きている人はたくさんいるし、変な写真とっ
てても根はいたって真面目な人だってたくさんいる。
 悔しいから、言い返してやる。
「あのね、あなた寝言でいっつも変なこと言ってるのよ。ピヨピヨ、
とかさ。この変人」
 夫はしょんぼりしてしまった。言いすぎたかな。ごめんなさい。

 僕は変な寝言を言うらしい。ピヨピヨ、だって。あぁ。恥ずかし
い。それにしてもいちいち言わなくたっていいじゃないか。黙って
おいてくれれば僕も恥ずかしい思いをしなくてすんだものを。大体
変なやつだ、って言ったぐらいで何怒ってるんだ。まったく。変な
写真ばっかり撮ってたら、そりゃ変なやつだって思うよ。
 このまま引き下がるわけにはいかないな。
「あのなー、お前となりの佐野じいさんの趣味知ってるだろ」
 妻はかまわず、折れたシャーペンの芯の短いほうにカメラを向け
ている。
「ひとり怪獣ごっこだぞ。変なじいさんだと思うだろ?」
「素敵な趣味じゃない。ちょっと静かにしててよ、このピヨピヨ男」
「ちょっ、お前なー、ピヨピヨ言ってる男が変なやつとは限んねー
だろ。ピヨピヨいってたってオレのハートは熱いんだよ!」
 もうよくわかんなくなってきた。
 
 ワシは今日こそエレキングを倒すつもりだ。今まではエレキングに
花を持たせてやってきたが、もう我慢の限界だ。このままあいつにの
さばらせておっては、我が家の平和が潰える日も近い。いざ勝負!
「おい、エレキング。今日という今日は生かしちゃおけねぇ。くらえ、
必殺の佐野ビーム」
 ワシのビームの前に、エレキングはひとたまりもなかった。まぁ本
気を出せばこんなもんだ。
 エレキングは悔しさのあまり、男泣きをしている。そういえば隣の
奥さんが、負けて悔しさに震えるエレキングの耳を写真に撮りたいと
言ってたな。変な奥さんだ。






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