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第3回1000字小説バトル
Entry30

醜美なイリュージョン

作者 : おあしす
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 「生涯で初めて丁寧にラインを引いたコカインを鼻の左穴から吸
込んだ時、といってもその時の俺は今以上にガキだったというより
かは金で買えないモノは世界に存在しないと本気で信じるアメリカ
のアッパークラスや、そいつの爺さんの爺さんの爺さん位のヤツが
死に物狂いの努力で手にした格式によって今の自分の存在が周囲に
認められているくせに『伝統は退屈だ』みたいなことを宣わって今
世界の何十億人もの人間が望んでいる恵まれた身分を自ずから破棄
してしまうバカなヨーロッパの貴族の末っ子のように単にコカイン
を気分転換の手段や性欲喚起剤として楽しむための経験と情報が圧
倒的に不足していたからそのコカイン初体験の時は虹の七色を総て
混ぜ合わせた色彩をして且つ液体と固体の中間のようにヌルヌルで
抹殺したくてもできない、マンハッタンのグリニッジビレッジ周辺
にいるホームレスの体にこびりついた垢のような物体が脳の、いや
身体の細胞という細胞総てにまで浸透した感じがして俺は生まれて
初めて自分が汚れた存在だと瞬間的にイメージしてしまったんだが、
しかしそれは時間に直すと0コンマ何秒とか言うぐらいの本当に短
い時間のことで、その状態を越えた後の俺は確実に進化した。昔猿
から進化した人間は何千年後には頭と指だけの生物になるといった
他愛もない小説を読んだが無論そんな陰惨な姿になるという意味に
おいての進化ではなくて、ロッキーの映画でスタローンが生卵を五
個だか十個だか忘れたが一気に飲み干すのを見て気持ち悪いと思う
反面その力強さにある種の尊敬を抱いたがその進化を感じたときの
俺は何百個もの卵を飲み干しても何の違和感も感じなかったと思う
ような、すなわち矛盾というものが全く介在することなく自分自身
を尊敬できたんだ。」私が嗅覚が狂う程臭いペニスをしゃぶったり
あそこに爪の伸びた指を入れられたりして金を稼いでいるのは子供
の頃叔父に犯されたトラウマで自分が嫌いになったからだと知って
いる彼はそう言って私に薬を与え私はその自分を尊敬できる薬を彼
から貰い続ける為にあそこに知らない人のペニスを入れて金を稼い
だがある日私が稼いだ金と共に彼は消えた。私はその日彼をバラバ
ラにする幻想を抱き寝たがそのバラバラになった彼が私を襲って私
の存在を無にしてしまう夢を見た。その夢の世界には嫌悪も尊敬も
薬もペニスも何もなくただひたすらバラバラの彼と形が消えていく
私だけがいた。






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