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第4回1000字小説バトル
Entry11

助手の憂鬱

作者 : パピオ
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Website : http://www.geocities.co.jp/Milkyway/1642/
文字数 :
「博士! おめでとうございます」 
「うん……ありがとう、とうとう完成したよ」 
「博士、これで長年のご努力が報われますね。きっと博士を馬鹿に
して笑っていたやつらを見返せますよ」 
そう言うと、助手は博士の手を取り、我がことのように涙を流し喜
んだ。 
「君にも本当に苦労をかけたね。君だけだよ。私の研究を理解して
くれて、長い間文句も言わないで手助けしてくれたのは……」 
「何をおっしゃるんですか! 博士。私は、ただ、ただ、博士……
くくくっ」 
「いやいや……苦労をかけたね。これは私の君への感謝の気持ちだ
よ。受け取ってくれたまえ」 
博士がそういって差し出す手には完成したばかりの……。 
「先生!どうなんでしょうか?」 
「う〜ん……今度の発明品はなんだっけ?」 
「これなんです。先生」 
博士の助手がおずおずと差し出したのは……。 
「君も苦労するが、だんだんとよくなってきてると思うよ……」 
「そうでしょうか?わたしには、まだまだのように思えるんですが?」 
「いや、そうでもないよ。今回の発明は、少しは脈があると思うよ。
私は」 
「これがですか?」助手は、博士の発明品を手にして、先生の顔を
まじまじとため息ととも見つめた。 
「いや……なんというか。この病気には、根気と我慢が必要なんだ
よ。助手……いや息子さんのあなたにはお気の毒だとは思うが……
今回の発明品の電卓は、前回の置き時計より複雑だし……それに前
よりも小さくなってきた。少しは自分の置かれている環境がわかっ
てきたということじゃないかな」 
「はあ……? 小さくなった?」 
「いやいや……うちの病院も、そうそう大きな発明品は困るんだよ。
置き時計の前は、自動車、その前は洗濯機、一番最初は蒸気機関車
だよ」 
助手は先生の顔を見ながら……博士が、空を見上げていたことを思
い出し憂鬱になっていた。年老いた父親が、自分を偉大な発明家だ
と突然思うようになり,心優しい息子が助手になってから10年が
過ぎていた。






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