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第4回1000字小説バトル
Entry23

変身せよ! スペクタクルマン

作者 : 蛮人S
Mail :
Website : http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3057/
文字数 :
 今週も怪獣が現れた。不細工な奴だった。
(よし、直ちに変身だ)
 俺は右手を掲げ体内の通信回路を開いた。そう、平凡な独身男は
仮の姿、俺は超級サイボーグ・スペクタクルマンなのだ。ただ変身
に本部の許可を要するのが弱点である!
「本部、スペクタクル変身願います」
『駄目ダ』
 俺は耳を疑った。
「なぜです」
『先週から部内規定が変わっていル。スペクタクル変身ニハ、マズ
稟議書を出し給エ』
 そんな暇無えよバカと叫びかけて俺は黙った。
『分かったラ、直ちに提出セヨ』
「了解!」俺は四駆に飛び乗ると、燃える都心を本部へと走った。
途中、敵のヘドロ光線を九発かわしたものの最後に一発カドミウム
弾を喰らい、終盤三百米は全力疾走せねばならなかった。
「はあ、はあっ、戻りました課長」
「早く書けよ」
 俺はなかなか起動しないパソコンの前で足踏みしながら手順を練
った。前に二話スペシャルで大スペクタクル変身した時のを流用し
よう。日付と件名だけ変えてプリンタに送る。窓の外では戦車が交
戦中だ。じりじり出てくる書類を無理矢理ひっぱり出し、放るよう
に提出すると課長は一瞥してシャチハタを突いた。
「ふむ、じゃ部長に回しとくよ」
「自分で持っていきます」書類を引ったくって部長室に走った。東
京タワーがひん曲がっていくのが横目に入った。
 部長は専務と談笑中だった。
「部長! ハンコ願います」
「俺さ、もうすぐ出張で台北行き乗るんだけどね。来週でいいだろ」
「今すぐッ! 見て下さいッ!」
 部長は渋面を作りながら、資料をめくった。
「で、見せ場は?」
「え? そ、それは……勇気が無くて立てない車椅子の少年をかば
って敵の攻撃に耐え」
「なめてんのか! 平常企画はアイデア勝負って言ってんだろ。考
え直せ、ざっくりでいい!」
「部長ぉ、今は何とかこれで許可願いますぅ」
 なんて間にも新幹線は焼け、都庁は倒れ、だがその時、突如銀色
のマスクの巨大ヒーローが現れた。俺達は悲鳴をあげた。
「シュピーゲルマンだ!」
 奴はいきなり必殺技を繰り出しやがった。
「シュピーゲル・メッサー!」
 怪獣は派手に爆発し煙となって昇る。我々はそれを憮然と眺めて
いた。
「……まただ。部長がもたつくから!」
「自分の努力不足は棚に上げてその言い草は何だ。いい、お前もう
いいっ!」
 こうして俺の活躍は第八話をもって終了した。今や本当にタダの
独身男になってしまった俺には、せめて首都の復興特需でも願うほ
かない。






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