第4回1000字小説バトル
Entry6
慌てて目覚ましを見ると6時。飲み過ぎたんだろう。目覚ましを 止めていたみたい。風呂場へ急ぐ。 身体に塗った石鹸で余分な油分を、温水と冷水の交互のシャワー でアルコールと眠気を吹き飛ばす。タオルで拭った身体にローショ ンと乳液を擦り込み、三面鏡の前に座る。 ちょっと休憩。といっても、ミネラルウォーターを一杯飲むだけ。 奇麗な張りのある肌を保つのが、化粧の秘訣だから、肌に悪いたば こは5年前に止めた。何毎も基本(ベース)が物をいうのだ。 ちょっと小さ目の下着を付けると、さっそくお化粧。ファンデー ションを薄めに叩いて、アイシャドー。アイラインを引いて、ルー ジュとチークを入れ、はい出き上がり。どれだけ薄化粧で済ますか がポイント。無造作に髪を後ろでまとめると衣装選び。今日は金曜 だから、ちょっとルーズにしよう。そう思った時胸が痛んだ。 「検死の結果、犯人は被害者 織田薫の口紅に×××を塗り込んだ 様です。昏倒した後で顔に◇◇◇を掛け鼻孔が塞がったのと、口内 に入り込んだ◇◇◇が喉を焼け爛らせて塞いでしまい、直接の死因 は窒息死との事でした」 捜査本部の部屋中がざわついた。陰惨な手口に思わず唸り声が上 がった。 「それで犯人の目星はついたのか」 「容疑者は、被害者と交友のあった二人に絞られました。どちらも アリバイはありません」 捜査主任の後ろの黒板には容疑者の写真と名前が書かれてあった。 どうやら三人の関係から推測すると、恋愛関係のもつれが原因と思 われた。 容疑者1 武田崇(32)男性 1年半前から交際開始 容疑者2 上杉遥(27)女性 7ヶ月前から交際開始 『私は死んでしまったのね。あの人に殺されるなんて。あの人が捕 まるまでは見ていたい』 容疑者二人の尋問は続くが、自供は引き出せない。 薫は尋問の時に、犯人の身体に乗り移ってみた。恐くなってすぐ 出てしまったが、効果はあった。 「主任犯人が自供しました」 「やっぱり、恋愛関係が原因だったか」 「というより、犯人はどうやら最近入信した宗教の影響で、正常な SEXを求める様になり、薫との関係を止めようとしたようです。 しかし聞き入れてもらえず、犯行に及んだと自供しました」 『今度生まれ変われたら、女性(異性)だけを愛する様にしよう』 心残りの無くなった薫は消えて行く意識の中でそう思った。
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