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第5回1000字小説バトル
Entry10

しりとり

作者 : sakutaro
Mail :
Website : http://www.dandan.gr.jp/~sakutaro/
文字数 :
 その男は村に一軒しかないラーメン屋に飛び込んできた。男は肩
を大きく上下させ、ラーメン屋の中を見回し、微かに笑った。
 お昼時であったためラーメン屋は満席だった。男はそんなことに
かまわず、どんどん奥に入っていく。
 そして一番奥の客に声をかけた。
「俺としりとりをしてくれないか」
 声をかけられた客はびっくりしている。それを見た店主は男を睨
みつけた。
「聞いてくれ。俺は…呪われてしまったんだ」
 場の雰囲気を察した男はいきなり土下座をした。店内が騒がしく
なる。
「俺は呪いで世界中のすべての人としりとりをしなければならない
呪いにかかってしまったんだ」
 男の表情は真剣そのものだった。男の気迫で騒いでいた客は静か
になった。箸を持ったまま、こしょうをかけたまま止まっている者
もいる。
「俺は一人の人間と一回ずつしりとりをしなければならない。そし
てどたらかが負ければこの世界は終ってしまう呪いなんだ」
 男はそれだけ言うと客に詰め寄った。
「お前は『う』から始めるんだ」
 客は『う』で始まる言葉を冷静に一字一字確かめるように言った。
『ういろう』
「俺は…『うし』だ…」
 そしてラーメン屋の客は男としりとりを続けた。そして残ってい
る客は老人だけになった。
「おい、ルールは分かってるだろうな。硬派だから『は』からだ」
 老人はこっくりと頷くとラーメンをすすった。老人はラーメンの
味に首を傾げた。そしてこしょうを取り出し、ラーメンにかけた。
 運悪くこしょうの蓋がはずれてしまい老人が顔をしかめる。
『はっくしょん』






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