第5回1000字小説バトル
Entry14
下りの最終に間にあって、ホームで電車を待っていた。 「♪…んーふふふ・ふーん」 楽しそうに酔っ払いが、近づいてくる。近づいてくる。近づいて くる。 (♪近づかなーぁあーいでーっと) 仕事の区切りがついた俺は、躁状態になっているようだ。口には 出さねども、ちょっと楽しい。 酔っ払いは独唱をしながら、静かに(大声で)電車を待っていた、 ぴょーん。 (あれ?どうも調子がおかしい(可笑しい)ぎゃははのはー) そーこへ因幡の白兎ー? いんや、あれはどう見ても、ヤクザの おじさんだっちゅうーの。こういう人には関わっちゃだめよ〜ん。 みんな見て見ぬ振りふりふりっプリッ。 ところがどっこい酔い待ち草のおじさんが、何思ったか近づいた ー。ドキドキドッキンドッキンコ。 「たばこ」 手を動かして吸う動き。お手々をひらひら、ヤーさん様に突き出 した。嫌な顔したヤーおじさんは、びっくりしてはいたけれど、苦 笑いしながらたばこを出して、酔い待ちおじさんに渡したげな。う ーん。アンタはエライ。禁煙区域も何のその。おじさん美味そにた ばこを吸った。ひえ〜。すんげーぞぃ。周りの人はどう思ったか、 やくざのおじさん偉いのか。酔っ払いが馬鹿なのか。どっちもどっ ち? ひえっがび〜ん。 そうこうしてる間にアナウンス。電車が来て乗り込んだ。素敵な やくざのおじさんは隅の方で立っている。そこへ酔ったおじさんは、 しばらくするとにこにこ顔で、酔ったよたヨタ近づいた。 「あんたの髪の毛、おもしろいねぇー。ハァー。今どきパンチなん て、やくざみたいだ。ハァー」 酒臭い息を吹きかけながら、おじさんミョウにからんだよ。 「いい加減にしろよ」 さすがに怒ったヤーさん様は、酔ったおじさんに言い返すーっ。 それでもみんなの迷惑に、ならない様にと小さな声で。 「何だとこのヤロ。生意気な」 言ったが早いか酔っ払い、ヤーさん様の後ろから、羽交い締めし て口に手を入れ引っ張った。哀れな口は変形し、ちょっと切ったか 血が出て来たよ。たらたらたらたら、たらりんこ。 その時電車の、扉が開いて、外には駅の係員。電車の中から「喧 嘩だ」の声で、思わずヤーさん様を引っ立てた。 「俺ゃ。何もしてねぇよ」言っても聞いてもらえない。 当の酔ったおじさんは、しらんぷりして電車の中で、開いた席へ と移動した。 電車の中の乗客共は、あちきを含めてだんまりさ。そのうち扉は しまったよ。あ〜。鬱になりそうだ。
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