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第5回1000字小説バトル
Entry38

ワーキング・ランチ

作者 : 鮭二
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Website : http://members.aol.com/Shakeji/papyrus.htm
文字数 :
「サバランチ会長、魯鈍物産の牧山社長がお見えです」こんこん。
「はい、どうぞ」まあ、お掛けなさい。そう、そこのソファーだ。
これ、お土産なんかいいから、ソファーに掛けたまえ。年代物だが
座り心地はいいよ。だから、よしたまえ、過剰接待は固くお断りな
んだよ。金?  金はありますよ。でもね、牧山君、こっちだって上
場企業だ、そんな誰彼となく貸すわけにはいかんのよ。ね、お帰り
なさいよ、金は貸せません。これ、袖をつかむな。「会長、次のお
客様がお待ちです」あらら残念。牧山君、そういうわけだから、ね、
だから駄目だって。経営改善計画?  読んだよ。読ませてもらった
よ。でもね、駄目なものは駄目なんだ。慈善事業だったら救世軍に
でも頼んどくれ。「会長、困ります。次のお客様が、ずいぶんお待
ちです」ほら、きみ……。
 こんこん。
「はい、どじょう」え?  どじょう?  どうぞ、でしょ?  しっかり
しろよ、株主総会間近なんだから。こんこん。「うむ、どじょう」
おおっ、声帯が……。こんこん。「はあい、どじょう」むぅ……。
こんこんこん。「ああ、どじょう」牧山君、ちょっと高谷君に……。
こんこんこん。「はいよ、もう大丈夫です。どじょう」こんこん、
こん。「うんとね……どじょうっ、いや、もとい……うなぎ?」
 そして、静かにドアが開く。
 どじょう。一匹のどじょう。
 おや、どじょうさんでしたか。まあ、ソファーにお掛けなさい。
ほらっ、牧山君、早く退きたまえ。ええ、ええ、伺っております、
どじょうさん。100億でよろしいの?  どじょうさんだったら、
150億、いえ、200億はお貸しできますよ。なんたって、どじ
ょうさんですもの。さあさあ、ソファーへどうぞ。年代物ですが、
座り心地は好いですよ。今、すぐに卵をご用意致します。ごぼうも
千切りにしているところです。はい、秘書の高谷君は、ごぼうの千
切りが得意なのです。鍋もこの通り、新しいやつを用意しました。
ぐつぐつ熱いのでやりましょうね。さあ、準備ができました。だし
汁と醤油と砂糖とお酒を入れましょうね。ねぎをぱらっと入れまし
ょうね。ぐつぐつぐつぐつ煮えてきましたね。さあ、どじょうさん、
そろそろ鍋に入りましょう。一気に入ってしまいましょう。はい、
どうぞ。はい、どじょう。これ、牧山君、箸なんか握ってるんじゃ
ないっ。「高谷さん、そろそろお昼にしようか」






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