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第6回1000字小説バトル
Entry10

最近お腹が出てきたとお悩みの貴兄へ

作者 : TAKUTO
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 残暑厳しいおり、いかがお過ごしでしょうか。突然のお便りにて
ご無礼申し上げます。
 さて、当社で開発いたしました新薬は、最近お腹が出てきたとお
悩みの皆様方に朗報を与えるものです。

 突然舞い込んだ手紙には、試供品と書かれた錠剤が入っていた。
 聞いた事のない製薬会社。悩む事はない。ゴミ箱へ直行だ。
 私は40に手が届こうというのに独身だった。ちびでぶに揃って
最近は頭も薄くなってきている。外見なんか気にはしないが、健康
の為にもLLサイズからは脱却したい。暑くなって食欲も増えてい
る。
 賞味期限切れの食べ物を食べる事もよくあるが、腹が痛くなった
事など記憶にない。身体はいたって丈夫だ。…よしっ。試しに思い
切って飲んでみよう。

 3日経ったが何ともない。効かなかったのかも知れないが、まぁ
身体は何ともないから大丈夫だろう。


 目が覚めるとお腹が変だった。ぷよぷよと心地良い軟らかさだっ
たのに、少し固くなっていた。
 柔らかいうちは痩せられるというけど、固くなってしまったら痩
せないかもしれない…。
 シャツを脱いで鏡を見ると、へその上当たりに赤い痣の様な模様
が浮かんでいた。痛くはない。勿論汗疹であるはずがない。
 あの薬のせいだろうか?注意書きを読まないで飲んでしまったが、
1錠しかなかったんだから、飲み方なんかある訳がない。…もう少
し様子を見てみよう。死にゃしない。

 翌日になると痣が大きくなっていた。じーっと見ていると痣が動
いた様な気がした。いやいや、め・目の錯覚だ。

 あぁ。どうしよう。こんなじゃ病院へも行けない。この痣はどう
見ても成長している。お腹一杯に広がってきた。しかも時々動いて
いて、それがはっきり感じられる。…あの手紙は捨ててしまって会
社の名前も覚えていない。…やっぱり病院へ行こう。このままじゃ
不安が増すばかりだ。

「大きな痣ですなぁ。レーザーで消せますが、これは時間が掛かり
ますよ」
「そういう事じゃなくて、この痣生きてるんですよ」
「え?ご冗談を。はっはっは」
 やぶ医者め。
 顔に見え始めた痣は『人面疽』という言葉を思い出させ、恐怖も
湧いていた。


 あれから一ヶ月。やっと落ち着いた。身体中の贅肉も落ち体型も
スッキリして、一躍有名人になってしまった。

「おぎゃぁ。おぎゃぁ」
 私のお腹を痛めて生まれた可愛い男の子が隣りで泣き出した。ミ
ルクの時間だ。
 この子の為にも結婚したいが、子連れじゃ若い娘は無理かな?






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