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第6回1000字小説バトル
Entry11

電話

作者 : 夜啼き鳥
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 ええと、そちらはどちら様でしょう。ええ、承知しております。
はい、そうです。私が掛けているんです。ええ、ですから、こうい
うことなんです。………。当然です。誰でも吃驚します。ご説明し
ます。
 私のところに電話の使用明細書が届いたんです。私はあまり電話
というものを使わないんで、どれも十円とか二十円とかそんなもの
なんです、はい。ところが先月の十二日、午前中にそちらへ一時間
も話し込んでいるんです。女子高生ならともかく私のようなおじさ
んは一時間も電話で話すなんて、拷問以外のなにものでもありませ
ん。しかも、午前中というのは私、勤めに出ておりますので家にい
るわけもありません。家人は、恥ずかしながら、現在ここには住ん
でおりません。いえ、とんでもない。商売だなんて。マルチ商法、
いえ、そんな知恵はありません。しがない勤め人です。………。宗
教の勧誘をするくらいなら残業でもします。
 うーん、どうしましょう。困ったな。いえ、独り言です。あなた
が困った人だなんてとんでもない。ですから単純な話なんです。違
います。単純な人だなんて言ってません。侮辱だなんて、悪意はさ
らさらございません。名前を言ってください。そうすれば気が済む
んです。二、三千円なんてものはどうでもいいんです。気になって
気になってどうしようもないんですよ。名前を……そんな危険はあ
りません。そんなことをして私になんのメリットがあるというんで
すか。いい加減にして下さい。いや、ああ、そんなつもりじゃあ…
…ええ、確かに、そうですね。よく言われます。性格的なものです
かねえ。はははは、おっしゃる通り。でもまあ、これでよしとしな
きゃあ……そうですかねえ、月々三千円、それが三万円、本当です
か、信じられないなあ、ええ、ええ、そうですね。お金のね、問題
じゃあね、はい、家族あってこその、ええ、娘が一人です。………。
救いですか。確かに癒しというのはね、あるでしょうね。毎月、第
二日曜日に、はい、そんなに盛況ですか。
 山田様……、住所が……、大丈夫です、メモってます。近くですよ。
電車で一本です。初回は五千円、いえ、当然です。はい、細かいこ
とは、お会いしたときに、そうですね。いやあ、結構なお話を伺い
ました。ありがとうございます。またお電話下さい。いえとんでも
ない。はい、ええ、ごめん下さい。失礼します。






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