第6回1000字小説バトル
Entry16
ちょっと、東京を離れることになった。三宅島の噴火が治まって、 その地形変化などの調査のバイトにありついた。 このところ二人の関係、息が詰まりそうだったから、ちょうど良 いかもしれない。夜のバイトもうんざりしていたし、そう思ってひ とりで応募した。 日常が遠ざかってゆく。三宅島行きの船上から東京が遠ざかって ゆくのを見ていたら、すごくほっとしてしまって、無理してた自分 に気づいた。 昨日、二人で話し合った。それぞれのライフコストのこと、大学 のこと、私達の妊娠のこと。 昨日は初めて、あのひとにはっきりと言った。 「今のあなたは、私の生活の上に乗ってるだけ。そうじゃなくて、 あなたの生活基盤をきちんとと築いてほしいの。」 あのひとは、居心地悪そうだった。最近、私のバイトが二人の唯一 の収入源だってこと、分かってるから。それにあのひとは、私達の 生活にいくら掛かっているか、ライフコストを知らなかった。 私はあのひとに、 「自分のライフコストは、自分で稼いでほしい」って言った。 そして、わたしの付けてた家計簿をあずけてきた。 大学は、卒業するつもり。あのひとにも卒業してほしい。在学中 に子供が出来たら、産むつもり。毎月、生理のたんびに子供産んで る訳にはいかないけど、自然体で生きていたいと思う。それに、生 まれて来た子供がやがて大きくなった時、 「君は、パパとママがすごく待ち望んで生まれて来たんだよ」って 聞かされたら、彼(彼女?)は、きっと喜ぶと思う。 「私の子供のうちの一人の父親が、あなたでも良いなって思う」っ て、伝えた。あのひとも同じことを言った。でも、自分のライフコ ストを稼ぎ出せない人のままだと、生れてくる子供に申し訳ない気 がする。 私が居ない東京であのひと、仕事探すかな?。昨日の話し合い、 伝わったかな?。前に一週間私がいなかった時、あのひと、私がい ないのが淋しいといって、酒飲んでパチンコだけして過ごしていた。 その町から今、遠ざかってゆく。 今までと同じに一緒にいても、私達、籍は入れたりしないだろう。 10日して、私が戻ってきた時に、あのひとが前と同じだったら、 私、別れたくなると思う。 海から見る東京って、私が知ってる東京と違ってみえる。 この船の上で私が見てる東京にあのひとと私達の生活とがあるんだっ て、思った。なんだか、他人事みたいな気分になってきた。10日 後、私達は、どんな答を出すんだろう…。
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