第6回1000字小説バトル
Entry18
土曜の夕刻、とある大学のラグビー部のロッカールームは、シャ ワーによる蒸気と汗の臭いが充満し、多くの学生たちがその余熱か ら逃れるように手早く身支度をしていた。 「ねぇ、トラオ、聞いてくれる?」 「なんだ」 「昨日の夜さ、ついにエミとセックスしたんだよ」 「おい、自慢話だったら聞いてらんねぇな」 「そんなんじゃないよ。おれってヘンなのかなと思って。トラオも 知ってると思うけど、エミってお嬢様なんだよ。昨日も、実はエミ の家でだったんだけど、すごいお屋敷でさ」 「へぇ、お前もやるじゃねぇか。両親の目の前でハメたのか?」 「そんなワケないじゃない、夜中にコッソリ忍び込んだんだよ。ば かでかいベッドの上で、シャンプーのいい匂いに夢中になって彼女 の服を脱がしてたんだ。ところがさ、気がついたら、いつの間にか おれの方が素っ裸にされてて、エミがしゃぶりまくってるんだよ、 大っきな音たてて。それで、ろくにキスもしないうちに上に乗って、 バンバン腰振り始めるんだ。おれは同じ階に寝てるエミの両親にバ レやしないかってビクビクしてるっていうのに、彼女はそんなこと まるでお構いなしにキモチ良さそうなカオでおれのこと見下ろして るんだよ。それってオカシクない?」 「そうか?」 「おれはヤだったね。エミの長い髪を引っ掴んでおれの下に組み敷 いてさ、三回くらい張ってやったよ、平手でね。それからメチャク チャに腰を打ちつけてると、悲鳴みたいな声上げるからさ、枕でカ オ押さえつけて、結局、思いっきり中で出しちゃったよ。でもしょ うがないよね、エミがコンドーム着けるヒマくれなかったんだから」 「うーん、最後のところだけはいただけねぇな」 「確かにそうかもね。少し軽率だったかもしれないな。でもどう思 う? さっきミシマに同じこと話したら、おれのこと異常だって言 うんだよ。時代遅れだって。女性にはもっと優しく接するべきだし、 彼女たちにだってセックスを楽しむ権利はあるって言うんだよ。だ けど、おれなりにエミのことは真剣に愛してるし、彼女だって感じ てたと思うんだ。それに、昔だったら許されてたっていうのかなぁ」 「知るかよ。それよりもとっとと帰ろうぜ。今日は駐車禁止の場所 にしかクルマ停められなかったんだ」 「でも...」 会話を断ち切るかのようにトラオはロッカーのドアを閉めた。そ の音が二人きりになった部屋に響き渡り、しばらくすると汗の臭い だけが、そこに留まっていた。
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