インディーズバトルマガジン QBOOKS

第6回1000字小説バトル
Entry24

魔法のランプ

作者 : けんけん
Mail :
Website : http://www.sol.dti.ne.jp/~kenken/index.htm
文字数 : 996
 博士は、ひとり海岸を歩いていた。博士は、理論家で読書家な自
然愛好家として有名だった。散歩のときは、本を読みながら、海岸
のゴミを拾いながらだ。
 博士は、研究のための予算が削られることが、先週の会議で決ま
り、そのことを考えながら歩いていると、何かにつまずいて転んで
しまった。博士は、また、誰かがゴミを持って帰らなかったのだな、
けしからん、と思い、それを拾い上げた。
 それは、古いランプだった。
 読書家の博士は、昔読んだ、魔法のランプの話を思い出した。で
も、まさか、このランプから、大きな魔人が出てくるなど、物理的
にありえない。博士は、そう思いながらも、ランプを擦ってみた。
 すると、驚いたことに、ランプから煙がモクモクと出て来たでは
ないか。博士は、驚いて腰を抜かしてしまった。
 煙が波風に運ばれると、そこには小さな魔人が立っていた。ちょ
うど、ランプに入るくらいの大きさだ。手には、発煙筒を持ってい
る。
「我を呼び覚ましたのは、お前か?」と魔人が訊く。
「そうだ」博士は答える。
「ならば、3つの……」
「願いを叶えてくれるのか?」博士は、興奮している。
「そうだ。よく知っているな。」
「なんでも叶えてくれるのか?」
「私にできる事なら」
「ならば、金が欲しい」博士は、これで研究に没頭できると思った。
「たやすいご用」魔人は、そういうと走っていってしまった。
 博士は、走り去る魔人を不思議そうに見ていたが、腰を抜かして
動けなかったので、海岸でひとりじっとしていた。しばらくすると、
魔人が戻ってきた。息が切れている。
「ほら、金だ」魔人は、そう言って、博士に2千円渡した。
「これだけか? 魔法で金銀財宝を出してくれるんじゃないのか?」
博士は、腰をさすりながら怒る。
「魔法?」魔人は、首をかしげる。「金銀財宝を出すなんて、物理
的に言って不可能だ」
 博士は、ガッカリした。そして、自分が科学者であることを思い
出し、少し恥ずかしかった。

「二つ目の願いを言え」と魔人。
「じゃあ、腰をもんでくれ。3つ目の願いは、もういい!」博士は、
怒ってそう言った。恥ずかしさをごまかそうとしたのかもしれない。

 魔人は、10分ほど、博士の腰を揉むと、ランプをかついで行っ
てしまった。
 3つ目の願いで、大学まで運んでもらえよかったなぁ、と後悔す
る博士の目に、砂浜にころがる発煙筒が写った。
 博士は叫んだ。
「海を汚すな――!!」






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