インディーズバトルマガジン QBOOKS

第6回1000字小説バトル
Entry33

境遇

作者 : 邯鄲虫
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Website : http://plaza19.mbn.or.jp/~souroku/
文字数 : 800字以内
「この猫が喋れたら何て言うかなあ」
「そりゃあ決まってる。ご飯の時間だ。トイレが汚い。もっと静か
に話してくれ、オレは眠いんだ。なんてさ」
「いや、アタシたちの話に割って入ってくるかもよ。アンタの言う
ことはいつも理屈ばっかなんだよ、それじゃコイツが可哀相だ。な
んてね」
「お前はもう少し女ってものを研究したほうがいいな、それじゃ彼
女に逃げられるぜ。ってか」
「お前の秘密はぜんぶ握ってるぜ、気をつけな。ってさ」
「なんだよ、そりゃあ。」
「猫が言うことなんだからアタシは知らない」
「なんかへんだなあ」
「へんじゃないよ、猫はぜんぶ見てるんだから。たとえばアタシが
居なかったあのときだって、何をしてたかわかったもんじゃない」
「誰のことだよ。猫がかよ」
「バッカじゃないの。何をしてたかわかんない誰かの行動を、ぜん
ぶ見てたのが猫ってことよ」
「やめようぜ、こんな話」
「そうやっていつも逃げようとするんだから、卑怯だよね」
「なんだよ。猫の話じゃなかったのかよ」
「もう話は変わってるのよ、そんなこともわかんないわけ」

「またか・・・」
猫は呟き、いずれ怒鳴りあいか掴み合いに至る口論を避け、ひっそ

りと避難場所にしている押し入れのダンボール箱へと向かった。飼
い主である二人には、気づかれもせず気にもとめられなかった。






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