第6回1000字小説バトル
Entry35
静かである。 一切音がしない。 風の音さえも。 二人の男が向かい合って立っている。 一人がナイフを取り出す。 細く、鈍く光っている。 男は自分の左手にナイフを突き刺す。 血が流れ出す。 男はナイフを置きグラスを手に取る。 血はグラスに注がれていく。 やがて、ガラスから血がこぼれそうになると男は傷口に腕輪をはめる。 血は止まる。 男は目の前の男にグラスをさしだす。 目の前の男はグラスを受け取り血を飲み干す。 ・・・・・・音もなく・・・・・・静かに・・・・・・ 「盟約は交わされた」 「死は共有される」 「目的が達成されるまでは」 ・・・・・・無音の世界はやがて光に飲み込まれるように消え去る・・・・・・ 彼は知っていた相手の自殺願望を・・・・・・ 相手も知っているだろう私が死病に侵されていることを・・・・・・ 私達は死を現実に見ることによって、死の恐怖をやわらげているのだろう・・・・・・ 我等は裏切りと苦痛無き死を最上のものとして望み盟約を交わそう。
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