第6回1000字小説バトル
Entry43
O書房という掌編小説のコンテストを行うホームページがある。 毎月100人ほどの参加者がいて、人気投票により優勝者を決定す る。優勝賞品は毎月かわり、前回は「沖縄産さとうきび」だったし、 その前は「鹿児島産さつまいも」だった。私は優勝賞品が特別欲し い訳でも欲しくない訳でもなく、ただ人より誇れるものが欲しくて はじめた。3回ほど参加したのだが、どうも納得がいかない。つま らない作品ばかり優勝するし、私の作品にいたっては1票さえも入 らない。そこで私はいろいろ試行錯誤しながら、コンテストの歴代 の優勝者や準優勝者の作品を見て投票されやすそうな作品を投稿し た。 しばらくして全作品が公開された。115作品を3日かけて読ん だ。なかなかの傑作揃いだ。私はすべての作品の感想を自分のホー ムページに公開することにした。だが普通に感想を書きはしない。 感想は少なからずとも投票に影響を与えるからだ。優勝しそうな作 品は可もなく不可もない感想を述べておく。絶賛するとそれに影響 され投票してしまう人がいるし、ボロクソに貶せばそんなに悪くな いのにと投票する天邪鬼がいるからだ。そして投票状況により僅差 で自作品が優勝を逃すことを考え、つまらない作品に投票した。 とうとう優勝者が発表された。優勝作品を見て私は驚いた。優勝 作品は私の作品ではなかったのだが、そんなことは慣れたこと。驚 いたのは私の投票した作品だったことだ。納得がいかな過ぎる。か といって私の投票した作品が優勝したのだから誰に文句を言える筈 もない。あんな駄作が優勝するなんて不思議でしょうがなかった。 参加者何人かで協力しあって、自分達の作品の中からひとつ選びだ し投票しているとしか思えない。 あっ――その手があったか。 私がそれをやればいいのだ。とにかく一度優勝してみたい。実力 など後から付いてくるものだ。さっそく私はこの名案を実行するべ く、ひとりの参加者に冗談っぽく「こんなこと考えた」とメールを 打って送ったみた。彼ならその内容の意味を理解してくれるだろう。 以下はそのメールの返信である。 あなたならその内に気づくと思っていました。私の予想では、あ なたは4回後の優勝者になるでしょう。次大会は○□△様が優勝さ れると思います。その次の大会は……。
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