第6回1000字小説バトル
Entry6
最近やたらと左肩がこる。 原因を色々考えてみた。この会社に入って、すでに12年。 課長になって3年。40も過ぎれば当然どこかにがたは来るし、管 理職という仕事からのプレッシャーや、早出、残業の毎日。そして 何より、うちの若手が何かにつけて、私を頼ろうとする。少しは自 分で考えろとも思うが、口に出しては言えない。女子社員には面倒 見の良い人間で通っているが、かなり自分を殺して、無理をしてい る。そんなこんなが集合して、左肩でおしくら饅頭でもしているよ うだ。 肩こりもひどくなると、頭が重くなり、吐き気さえもよおすよう になる。仕方なく、病院に行って精密検査やらレントゲンやらCT 何とかやら、やってみたが、結局原因はわからず。整体師の所にも かなり通って、マッサージを受けたが、効き目は無し。かえって、 症状はひどくなる一方である。それでも、肩こりごときで会社を休 む訳にもいかず、日々仕事に励んでいた。 そんなある月曜日、営業会議の後に、田口という女子社員が、つ かつかと私の所にきて、 「課長、これからもよろしく。」とたった一言だけ言って会議室を 出ていってしまった。一体、何をどうよろしくしたら良いのか、何 を期待しているのか判らないまま、私はその場に取り残された。 火曜日の午後3時、牧恭子は女子トイレの個室の中にいた。 そして、自分の腹をさすりながらこう言った。 「ごめんね。産んであげられないの。明日でさようならよ。天国で 困ったことがあったら、課長に相談すれば良いよ。面倒見は良いん だから。本当のお父さんじゃあないけどね。きっと、天国で田口さ んの赤ちゃんとも会えると思うよ」 木曜の朝、私は目を覚ますと右肩もこり始めた事に気が付いた。 原因を色々考えてみた。この会社に入って、すでに12年…………。 女子社員には面倒見の良い人間で通っているが、かなり自分を殺し て、無理をしている。
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