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第6回1000字小説バトル
Entry61

空想小説

作者 : ヒョン
Website : http://cc.utsunomiya-u.ac.jp/~k950141
文字数 : 695
 ジュール・ヴェルヌの描いた空想の世界のように、空は青かった。
 そして夏は当たり前に暑かった。
 僕はきみを、待つわけでもなく待たないわけでもなく、一人街を
歩いていた。
 人々の吹く口笛が、なぜか僕には新しかった。
 シロナガスクジラとその息子が、空に浮かんでいて高笑いをして
いるらしかった。
 僕は若かった。
 青かった。
 黄色いカモフラージュが、信号のむこう側でまりつきをしている
子供に、おいでおいでと言っていた。
 見えるバリアも見えないバリアも、すべてが自分に誇りをもって
いた。
 気になるそのマリッジ・ブルーの女の子は、だからではないけれ
ども青い指輪が好きだった。
 僕はまた、むかし駄菓子屋で買った白いワンピースのことを思い
だしていた。
 それは駄菓子屋の婆さんが、まだ二十才だった頃に、楽しみに着
ていたという服だった。
 きっと彼女になら、あのワンピースも似合うのではないかと思っ
た。
 場違いな寂しさが、ふと頭の上をよぎった。
 消えるようなヒコーキ雲が、自分の空に設計図の線を引いていた。
 僕は知りたかった。
 どうしてあの時、あの人間模様のにじみは、しつこくもしつこく
も洗濯機をまどわせていたのか。
 その気になれば世はひっくり返せるように思えた。
 僕は僕として、また一つ渇いた笑いを浮かべた。
 事実は時として、一風変わった曲線の姿態を表わしてみせる。
 僕はそれが気に入っていた。
 彼女もそれが気に入っていた。
 誰かが再び、緑色のパラグライダーを人々に贈った。
 自由の自由たるべき昆虫の姿がそこにはあった。
 セミが鳴いていた。
 きみは笑っていた。
 僕も笑っていたかった。
 できれば一緒にいたかった。






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