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第6回1000字小説バトル
Entry72

月がとっても青いから

作者 : zzz
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 近道して帰ろう。なぜなら、
1)月が青い夜には良くない事が起きると言われている。
2)しかも満月。なぜか犯罪率が高いらしい。
3)ちょっと嫌な予感がしてきた。
 だからひたすら家に早く着ける様考えていた。早足になりそうだ
ったが、そうするともっと心臓がドキドキするので止めた。いつも
の様に焦らず急がず何となく家へ着く、そんな考えが頭からぶっ飛
んでいかない様逆にゆっくり歩いていた。様な気がする。
「金」
遭っちゃったよ。ほーら遭っちゃったよ。
「ここ」
財布の入っている胸のポケットを指差した。こういう時自分から財
布を抜こうとすると、拳銃を抜くのと間違われて反対に撃たれてし
まうらしい。アメリカでは。ここ日本だけど。
「カードと免許証だけは何とか」
頑張って言ってみた。ちゃんとゆっくり言えた。たまーに返してく
れる事があるらしい。アメリカでは。ほんとここ日本なんだけど。
「どうも」
返してくれたので一応御礼を言ってみた。
「俺の事、警察に言うつもり?」
「いやー」
ちょっとの間にすごく考えた。
「金そんなに入ってなかったし、カードも返してくれたから。ハハ」
最後のツメで刺されたくないので、とにかくこの世で一番人畜無害
な男のフリをしてみた。
「サンキュー」
この言葉にさらに御愛想笑いをした自分は、世界選抜パープリン大
会で総合優勝間違いないと思った。

 ダイニングの扉を開けるとかみさんが寝間着姿でテレビを見てい
た。
「おかえり」
「ただいま」
背広とネクタイをテーブルの上に置いて椅子に座った。
「今日、月が青いの知ってた?」
かみさんが夕食の冷めたオカズをレンジに入れながら聞いてきた。
「う、うん。それで少し遠回りして帰ってきた」
かみさんが壁掛時計を見て言った。
「そうね。いつもより少し帰り遅かったみたいだから」

怖くなって近道したけど逆に強盗に遭って時間くった上にお礼まで
言っちゃった事、言えないっしょ、やっぱ。






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