インディーズバトルマガジン QBOOKS

第6回1000字小説バトル
Entry75

女神

作者 : ろくなもん
Website : http://www.rokudemo.com/
文字数 : 700くらい
 とあるボロアパートで、老夫婦が激しく悲しみの涙を流していた。
 そこへ見るに見かねた女神が、老夫婦の前に降り立った。
「これこれ、どうなされたのでしょうか?」
「め、女神様。いえ、実は私のせがれのことなのです。せがれの奴
ときたら美少年なのをいいことに、職にも就かずに毎日違う女と一
緒に遊び回っておりまして、小遣いまでもらっている始末で…情け
ないったらありゃしません。女神様、どうかせがれの根性を叩き直
してはもらえないでしょうか?」
「分かりました」
 女神はニッコリと微笑むと、早速せがれの所に飛んでいった。
 せがれは二人の女とくんづほぐれつの真っ最中だった。
「これこれ」
「…ん?なんだ女神様か」
「お前に話したいことがあるのです」
「後にしてくれ。今忙しいんだよ」
 せがれは女神をほっといて、またコチョコチョし始めた。
「いやーん、もう…」
「な、ここがな?いいだろ?」
「あん、あたしにも!」
 しばらくの間、女神は黙って待っていたが、なかなか終わりそう
にもなかった。
「あの…まだ終わりませんか?」
「…まだまだだよ!…でな、ここらへんがまた…」
「ああん」
「はああん」
 女神はブスッとした表情で座り込んだ。そして、床の木目を数え
たりして時間をつぶした。
「あの…そろそろ終わってもらえないでしょうか?」
「うるさいな。これからなんだよ」
「そーよ、まだまだよ」
「もっともっとたっぷりなんだから、ねー?」
 女神は無言で俯いたままになった。
 そしてフッとため息をついた。

(彼氏ほしいな…)






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