第6回1000字小説バトル
Entry9
ザザー、ザザー……。 海の音が耳に心地良い。視線を上げれば、何処までも澄んだ青い空 が、視線を戻せば透けるような蒼い海が広がっている。 周りにはわたし以外の人間はいない。当然、ゴミなんて何処にもな い。 残念なのは売店も無いことだが、別にお腹が空く事もないわけだか ら気にはならない。 でもね、一つだけ。 そう、たった一つだけ不満に思う事があるの。 ううん、不満と言うよりも疑問。 ここは良い所だって思うし、こんなに綺麗な海を一人占め出来るの は正直な気持ち、とっても嬉しい。 ……でもね、だからね、疑問が沸いてくるの。 ねぇ、いつになったらわたしはココから出れるの? すぐ目の前の透明な壁をわたしは力強く叩いた。 透明な壁――ブラウン管――の向う側には誰もいない部屋、昨日ま でのわたしの日常が広がっている。 でも、いまのわたしはTVの中。 気づいてくれる人は誰もいない。 ねぇ、いつになったら出られるの? 誰か、わたしをココから出し てよ! 誰もいない部屋にわたしの声と壁を叩く音だけが響く。 ――ココは楽園。楽園と言う名前の牢獄。 そして、ベッドにはわたしの抜け殻が静かに眠っている……
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