第7回1000字小説バトル
Entry38
「何をして遊ぶ?」
「かくれんぼしよっか?」
「2人しかいないんだ、もっとましな遊び考えろよ」
「じゃあ、お兄ちゃん、いつものように考えてよ」
何して遊ぶか決めるのは、ほんの少し年上のお兄ちゃんの役割だ。
弟はうれしそうに目を輝かせてお兄ちゃんの言葉を待っている。
「よし、いい事思い付いた」
弟は目をさらに輝かせて、お兄ちゃんを見上げた。
「あそこにいろんな色、大きさをしたボールみたいなのが見える
かい?」
お兄ちゃんが指差す先には確かに大小いくつものボールみたいな
ものが見える。
「ルールはね、あれのどれかに石を当てるだけ。簡単だろ?」
「あのしましま模様のに当てたら5点、あの真っ赤なやつが3点、
あの真ん中にある黄色いやつは1点……」
お兄ちゃんは手際よく得点を決めていく。
「そして、あの青い1番きれいなのに当てることができたら10
点だ。あいつらは全部あの黄色いのを中心に動いてるから、ちゃん
と軌道を計算しないとだめだぞ。わかった?」
「うん」
もう投げたくてうずうずしてるようだ。
「僕は、絶対10点をねらうんだ」
そう言うと、お兄ちゃんの話もそうそうに、そこらの石を投げた。
「えい!」
石は他のには目もくれずに青いやつへと、真っ直ぐ飛んでいった。
その頃地球では……
「巨大隕石接近中、このままでは地球に衝突します」
その報告を受けた日のうちに対策が練られ爆破班が召集された。
全世界に放送されたニュースでは、爆破班の責任者が、流れる汗
をぬぐいもせず、こぶしを硬く握り熱弁した。
「世界中の皆様、何も心配は要りません。必ず我々が全人類のた
め隕石をどかんと葬ってやります」
そして爆破班は飛び立った。
数時間後、大音響と共に目に突き刺さるような光が暗闇を照らす。
しばらくして、静けさの戻った暗闇に無邪気な声がこだまする。
「やったぁ、10点だぁ!」
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