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第7回1000字小説バトル
Entry39

めぐり行く時代

作者 : アベタツヤ
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 ナカウチ会長は迷っていた。自分の跡目に息子を据えていいのか
……。独裁体制だった自分の時代と何も変わらないんじゃないか。
 ナカウチコンチェルンはナカウチ氏1代で築いた会社である。
 しかし今では彼の力では立て直せないのではないか、そう囁かれ
るほど業績は落ち込んだ。そこで自分の変わりに指揮を取れる人物
を探していた。候補は二人。息子のコウと、実力者のアカギ。
 
「社長とは、人の上に立つ人物とはどうゆう者ぞ?」会長は問う。

コウ、「何事も率先して、自ら行動を起こし、部下の信頼を勝ち得
る者。あなたの独裁はいき過ぎましたが、あなたを見て育った私は
同じ轍を踏みません。」

アカギ、「人を、人より多く、人以上に愛せよ。リーダーとはそう
いった人物です。」
ナカウチ氏「それはおまえの信念か?」
アカギ「父の教えです。正確には母から伝え聞いた、偉大な亡き父
の信念です。」

 数日後
「会長、なぜアカギに?実力的にも遜色はなかったはずでは?」
「昔、惚れた女がおった。人を愛する事だけに人生をつぎ込むよう
な女じゃった。わしには妻がおり、どうしようもなかったん。その
ときこんな嘘をついた。私は人の上に立つ者として、多くの人に愛
を注がなければならない、人を、人より多く、人以上に。だからお
まえだけを愛する事は出来ないと、それからは会っておらん。彼女
はアカギという姓じゃった。」

「わしは愛を注ぐような社長ではなかった。独裁じゃ通用しないん
じゃよ、今の時代は。アカギに賭けてみようと思った。それがわし
の最後の独断じゃ。」






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