インディーズバトルマガジン QBOOKS

第9回1000字小説バトル
Entry13

感想文

作者 : しょーじ
Website :
文字数 : 961
 はじめまして。新作『粉雪の舞う街で』拝見させていただきまし
た。僭越ながら感想を述べさせていただきたいと思います。

 雪国の城下町でのせつない恋の物語が、なめらかな文体で美しく
繊細に描かれています。主人公しおりのそそとした和服姿が目に見
えるようですね。純粋に感動いたしました。素敵な作品、本当にあ
りがとうございました。
 ひとつ気になったのは、想いを寄せている幼馴染みの健治との駅
での別れのシーンです。「しおりは健治の右の鼻の穴に小指を突っ
込み、サヨナラとつぶやいた」とありますが、僕は「左の鼻の穴に
親指をねじ込み〜」の方が好きです。でもこれは個人的な好みです
からね。
 たんが切れずに悩んでいるしおりのもどかしさが、
「か〜っ、か〜っ、ぺっ」を連発する事で、非常によく伝わってき
たと思います。
 真犯人の正体には本当に驚きました。鏡を使ったトリックもあり
がちかとは思いましたが、まさかあのようなどんでん返しが待って
いるとは。久しぶりに本格的推理小説に出会えた感じがします。幼
い頃、片足を失ったしおりという設定もちゃんと伏線になっていた
のですね。ただ、しおりの義足にマシンガンが仕込まれているとい
うのが、少し安易な気がしました。
 後半から登場する、パプアニューギニア人の文雄がいい味を出し
ていますね。大富豪の御曹司でありながら、超能力を持て余す文雄。
その彼が大工修行を経て、現在の職業、NASAの宇宙パイロットに至
るまでの描写は秀逸でした。「昔、甲子園にいけなかったのは自分
のエラーのせいだ!」という台詞には泣けてしまいました。
 物心ついた時から鉄仮面を被せられて育ったしおりは、じつはニ
ューハーフ。しかもその正体はクローン人間だったということは納
得できます。悪の化身、向島博士がヒーロー扱いされるのもいいで
しょう。でも地底怪獣ドミラスを殺してしまうというのは、いかが
なものでしょうか。
 大挙して飛来してきたスメポターナ星人の目的が、地球侵略じゃ
なかった事には救われた思いです。
 けっきょく最後、人類は滅びてしまうわけですが、この作品には
やさしさが満ちあふれています。作者の生きる姿勢に大きな感銘を
受けました。僕もいつかこんな作品が書けたらな、と思いました。

 では、デビュー目指してお互いがんばりましょうね。ありがとう
ございました。






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