第9回1000字小説バトル
Entry14
河でボートを漕いでいると突然流れが速くなり、人が流されてき た。 慌てて捕まえ助けあげる。 だが、よく見るとそれは人ではなく、かっぱで、かっぱはぴゅー と口から水を吹き出し、 「ああ、助かっぱ」 と言って、ぜーぜー肩で息をしている。 所詮かっぱもかっぱだな、と僕は思う。「かっぱが溺れるなんて ね」と僕は言ってみる。 すると、かっぱは僕を見て「わかっぱない、わかっぱない、あん たわかっぱないね、これには理由があるだよ」と話はじめる。 かっぱ、かっぱ、かっぱ。 ある少年が石を投げた。コツン、とオイラに当った。 かっぱ、かっぱ、かっぱ。 コツンとまた石を当てられたんでオイラはそいつに言ってやっ た。 「かっぱ、かっぱ、かっぱ。 そこのぼく、ぼく。石をなげちゃいけないな。河になげちゃいけ ないな。人生なげちゃいけないな。いいかい、いいかい? そんな ことしたら、かっぱに当るだろう? 痛いだろう? 怪我するだろ う? かっぱ、かっぱ、かっぱ、痛かっぱじゃないか。わかっぱか い? わかっぱないかい? いやいやいやいや、返事はハイだよ。 ハイと言ったらハイだよ。 ウンと言わずにハイだよ。イヤと言って もダメだよ。おいおいおいおい。おいと言っているだろう。あっ! 痛い」 そいつ、かっぱの言うこと聞かずにまた石投げたんで、かっと頭 の皿にきて、そいつの手を齧ってやった。 そしたら、「うええええん」てそりゃあもう凄い量の涙。 プールひっくり返したぐらいの量がどどどどどっとそいつの目か ら流れるは流れるはオイラも流されるは。きっとあいつ、少年のコ スプレしてたけど妖怪だったんだな。ちくしょーめ。 お? おいおいおいおい。ここはどこだい。もしかして海かい? そり ゃ困った。 かっぱ、かっぱ、かっぱ。 ちょっと兄さん、河まで戻ってくれかっぱ? 激流に流され、いつのまにかボートは海に出ていた。 かっぱは塩水が苦手なのだ。「シメタ! これでかっぱを生け捕 りにできる、生け捕りにして見せ物にして、大金持ちだ!」と僕は 喜んだ。 ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい。 思わず万歳なんかしちゃったりして。 ん? なんか手が変だ。あ! 手がない! 「かっぱ、かっぱ、かっぱ、兄さん、ばかだね。かっぱなめたら 汚いよ不味いよ恐いよ。手は齧らせてもらったよ。もっと喰うよ。 かっぱ、かっぱ、ぱくぱくぱくっ!」 そうして僕は食べられてしまったのでした。
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