第10回1000字小説バトル
Entry13
工事中の体育館を土砂や瓦礫をつんだトラックが頻繁に行き来す る。トラックは通るたびに少量の土砂と埃を撒き散らし、近くにあ る中庭の芝生を砂塗れにする。ハルはその砂塗れの芝生の上で寝そ べっていた。風と太陽の強い日で雲がとても早く動くのが解る。 昨日いつも一緒にいるスミに彼氏ができた。スミは今日一日大変 機嫌がよく、ハルもそれに付き合って話を聞いた。本当は放課後も ここで話を聞いてあげようと思ったのに、隅は授業が終わると「約 束があるの」と言ってハルを置いていってしまったのだ。いつも自 分は化粧が似合わないと言っていたのに薄い色の着いた口紅をつけ て。いったいいつのまにあんな物かったのだろうか?大体スミと言 ったら色気より食い気でハンバーガーの大食い対決をやった時だっ て。ハルは七個も食べれて絶対勝ったと思ったのにスミは九個半も 食べて結局、罰で私がその代金を払ったのだ。 高校に入ってからハルとスミはいつも一緒に行動していた。つい 二ヶ月前の夏休みだって七泊かけてハワイに行ってきたのだ。初め て飛行機に乗るスミに「飛行機の中では足音を立ててはだめ。飛行 機がバランス崩しちゃうでしょ。トイレ行く時もそーっとね」って いったら、スミ本当にすり足で動いてスチュワーデスさんに「どっ か具合でも悪いんですか?」なんていわれてた。何にも知らないく せに今日のスミったら「ハルも早くいい人できるといいね」なんて あれは本気で言っているのだろうか。だいたいスミってば「私は夢 を追いかけていて、輝いているような人が好き」なんていっておき ながら、今日見せてもらった写真の男人ってば眉毛なんか下がって いて、何の取り柄もないような、従兄弟の稔君に似た普通の男の子だ った。 ハルはため息付いた。これから予備校に行かなければならない 本当は今日はサボってもいいかな、と思っていたのだがスミがいな い以上サボってもする事がない。進路の決まっていない予備校ほど 退屈なところはない。重い腰を上げスカートを叩くともう一度ため 息を付いた。すぐ後ろを自転車がすごい勢いで砂煙を立てながら走 ってきた。同じクラスの達也だった「今日は一人かよ、さみしいな」 と通り過ぎざまに言う達也にハルは「うっさい」と怒鳴った。
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