第10回1000字小説バトル
Entry30
ある寒い冬の日の、深夜2時頃、私は家へ帰るために凍てつく風 にさらされながら一人歩いていた。 空には雲一つなく、月がとても輝いており、いつもは暗い夜道を 明るく照らしていた。 ふと空を見上げると月が夜空を照らしながらも、星がちらほら見 えている。私は冬の夜、一人で歩いているときはいつもオリオン座 を捜す習慣がついていた。なぜだか分からないがオリオン座が好き なのだ。 今日もオリオン座を捜すため夜空をぐるっと見渡した。簡単に見 つかった。オリオン座が見つかると同時にいつもの疑問がまた浮か んできた。 その疑問というのはオリオン座の中の星の一つと、その横の2つ の星で構成される冬の大三角形についてだった。 もしかしたらあの冬の大三角形の一角は全て60度の正三角形で はないのか。おそらく昔の天文学者はあの角度を分度器か何かで計 ったに違いない。もし本当に3つの角全てが60度の正三角形だっ たらさぞ興奮したことだろうに。 と、いつも思っているのだが、家に帰ると、さきほどの疑問など すっかり忘れていて、結局調べることもなく今まで来てしまったの だった。 今日もまたそうなりそうな予感の中、私はじっと冬の大三角形を 見ながら、心の中でその名前を何度も繰り返していた。 冬の大三角形かあ、冬の大三角形ねえ、冬の………。冬の? そこでまた新たな疑問が浮かんできた。冬の、ということは暦の 上で冬と対をなす夏にも夏の大三角形をいう星座があるのか?いや、 中三角形でもいい、小三角形でもいい、春でも、秋でもいい。他の 季節に三角形があるのか?と、にわかに興奮してきて、よし家へ帰 ったら早速調べてみようと思い、しかしその前にコンビニで買いも のをしなくては、と店に入り、出てきた時にはすっかり忘れていた のであった。
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