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第10回1000字小説バトル
Entry6

ドミノは倒れたか?

作者 : 吾心 [ごしん]
Website :
文字数 : 793
 2000年12月24日深夜。
 2001年正月の記念事業としてドミノ倒しの世界記録に挑戦し
ようと、ボランティアを募りドミノを並べはじめて三ヶ月が過ぎよ
うとしていた。わたしがこの事業の責任者として、計画から携わっ
て約一年。予定より大幅に遅れていた計画も、徹夜続きの作業で何
とか間に合いそうである。ゴールは見えてきた。しかしクリスマス
返上で作業はつづく。
「いよいよ大詰めだな、少し仮眠でもとろうか」
そう思った瞬間、かすかな目眩を感じた。
「疲れが溜まってるな、早く横になろう」
だが、目眩はおさまりそうにはなかった。それどころか、ますます
ひどくなっている。
「地震だ!! 」
部下が血相を変えて部屋に飛び込んできた。目眩ではなかった。別
段大袈裟に騒ぐほどではない軽い地震だが、ドミノに致命傷を与え
るには十分であった。私はドミノ会場へと急いだ。
「今までの苦労は何だったんだ! ああ神様、どうかドミノ達が無
事でいてくれますように、せめて、2001年までに間に合います
ように、2001、2001……2001個以上倒れませんように
! 」
表面では冷静さを装いながらも、すっかりと取り乱していた。息せ
き切らして会場に辿り着くと、ドミノはなぜか一個も倒れてはいな
かった。
「ああ、奇跡だ! クリスマスに奇跡が起こったんだ! 神様あり
がとう! 」

「…という訳で、幾多の困難を乗り越えて2001年を迎えるにあ
たり、このドミノ事業を…」
いよいよ、2001年を迎える。祝辞を聞きながらこの一年の苦労
が頭の中をよぎる。祝辞が終わりスタート地点に立つ。指が震える。
カウントダウンの大合唱が聞こえる。フラッシュが眩しい。
「5・4・3・2・1・ゼロ! 」
カタカタと音を立てて倒れるドミノ。沸き上がる歓声。しかしその
歓声はすぐに静寂へと変わった。
途中でドミノは倒れるのを止めてしまったのだ。
そのドミノはちょうど2001個目であった。






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