インディーズバトルマガジン QBOOKS

第11回1000字小説バトル
Entry21

或る夜の体験

作者 : 岡田聡次郎
Website : http://village.infoweb.ne.jp/~terakin/okasou/okasou.htm
文字数 : 675
 俺は深夜だと言うのに机に向かっていた。来年の大学受験に向け
てだ。BGMのラジオからはつまらない事で笑い合うディスクジョ
ッキーの声が聞こえている。
 ふぅと俺は軽くため息をついた。ラジオからは先程のディスクジ
ョッキーに代わって最近の流行歌が流れている。俺はラジオに耳を
傾ける。
 ・・・何だか妙だ。音楽のバックに声がかすかに聞こえる。気に
なった俺はボリュウムのツマミを大きく回した。
 音楽に混じる声をスピーカーに耳を近づけ、よく聞くと・・・
 「我々は地球へ先に潜入している仲間達と合流し、ただ今より総
攻撃を開始する。場所は、コモロ町32。X軸385 Y軸527
の地点だ。諸君、健闘を祈る」
 それきりその声は聞こえなくなり、純粋な音楽が流れ始めた。
 (総攻撃? 何の事だ? それに・・・コモロ町・・・32・・・
って俺の家じゃないか!!)
 不意に階下から怒鳴る声がした。
 「ミツオー!! ラジオがうるさくって眠れないじゃないか!!」
 父親の声だ。
 そうだ。こんな、どうでもいい事を考えている場合ではない。勉
強だ。勉強。
 と、再び机に向かうと耳元で羽音がする。ブーンと・・・蚊だ。
しかも、今まで気がつかなかったのか、5、6匹かそれ以上いるの
ではないだろうか?
 俺は腕に止まった蚊を2、3匹平手で叩き、あとは面倒くさくな
ってそのままにしておいた。
 「まったくもう、うるさいやつらだ」

 ラジオからはまだ、音楽が流れていた。
 バックにはまた、かすかに声が・・・
 「我、敵の猛反撃に遭い、2名即死、1名重傷。これより退却を
開始する!!」






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