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第11回1000字小説バトル
Entry22

白と黒

作者 : Default [でふぉると]
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文字数 : 991
 神の創りし世界は、いまだ白と黒であった。

 白き騎士は神に仕えていた。
 黒き騎士は神に仕えていた。

 しかし、白き騎士は、黒き騎士を忌み嫌っていた。なぜなら、彼
は白くなかったから。
 彼にとって、それほどまでに正当な理由は他になかった。
 しかし、黒き騎士は、白き騎士を忌み嫌っていた。なぜなら、彼
は黒くなかったから。
 彼にとって、それほどまでに正当な理由は他になかった。

 白き騎士は神に訴えた。
「私は黒き者の存在を許す事ができません。なぜなら、彼は白くな
いからです」
 黒き騎士は神に訴えた。
「私は白き者の存在を許す事ができません。なぜなら、彼は黒くな
いからです」

 それを聞いた神は騎士たちに告げた。
「それならば戦いなさい。旗をかかげ、自らの存在を賭して戦うの
です」
 こうして、白き騎士と黒き騎士は果てしない戦いを始めた。

 二人の騎士は昼夜を通して戦った。
 昼は白の騎士が強く、夜は黒の騎士が強かった。

 白い騎士の剣が、黒い騎士の盾に白い傷をつけた。
 黒い騎士の剣が、白い騎士の盾に黒い傷をつけた。

 白い騎士の剣が、黒い騎士の鎧に白い傷をつけた。
 黒い騎士の剣が、白い騎士の鎧に黒い傷をつけた。

 そして、幾千、幾億もの昼と夜が繰り返された。

 やがて、白き騎士は黒い傷によって灰色になってしまった。
「私は黒を嫌ったゆえに黒を取り込んでしまった」
 やがて、黒き騎士は白い傷によって灰色になってしまった。
「私は白を嫌ったゆえに白を取り込んでしまった」

 もはや、どちらが白で、どちらが黒なのかわからなかった。
 二人の灰色の騎士はとても嘆き悲しんだ。

 それを見て、神は言った。
「何を嘆き悲しむのです。もはや貴方たちは白くもなく、黒くもな
い。お互いにいがみあう理由がなくなったのです。憎しみを捨て去
ることができるではないですか」

 灰色の騎士は言った。
「ああ、神よ」

 灰色の騎士は言った。
「貴方は我々の戦いが何をもたらすかを知っていらしたのですね」

 灰色の騎士は言った。
「たしかに、私たちにはお互い憎みあう理由はなくなりました」

 灰色の騎士は言った。
「だが、私たちの心には以前とは比べ物にならぬほどの憎しみが芽
生えてしまったのです」

 そうして、灰色の騎士は、二ふりの剣で神を刺し殺した。
 黄昏の角笛は深く悲しく響きわたり、騎士たちは鎧を脱ぎ捨てた。

 神々の時代は終わりを告げ、人間たちの時代がやってきた。






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