第11回1000字小説バトル
Entry32
郁美は孤児だった。 8人兄弟の末っ子として育てられた彼女は、叔父であるイトー人 に見出され、プリマドンナとしての才能を開花させる。なかでもラ イバル蝶野・ゲルマニョン・加代子との鼻メガネ対決や、インドか らの留学生で、じつは黒い肌の人であるシンジケート・純とのノミ ニケーションを経て、少女から大人のオンナに脱皮するサナ江。 しかし、順風満帆かと思われたそんな小学生日本一周自転車旅行 にも、次々と災難が降りかかった。自分をかばってマンホールに落 ちた実弟の死。軽い人違いから起きたツタンカーメンの呪い。密室 トリックの謎などあまりにも悲惨な、事件と呼ぶには大げさすぎる ちょっとしたアクシデント(ポロリ!? 含む)を乗り越え、ついに ヨーヨーチャンピオンとなった彼に訪れたのは、理不尽とも思える ほどに唐突なスーパーカーおばあちゃんとの別れである。 「スーパーカーおばあちゃん、死なないで」 「ごめん、かんち」 「あたしかんちじゃないわ」 (振り向きざま)「かーんち!!」(ここで主題歌フェイド・イン) 去って行く彼女を前になかば呆然と、しっかり笑って手を振る昌 子に、ついに縁談話が!!! 「おはようございます」 「おはよう」 そんなサラリーマン人生も、はや30年。11人いたみんなも全員 合格し、タラという子供も生まれ一家は今日も大忙しの大賑わい。 思い返してみればたくさんの人たちとのちいさな第二次肝油ショッ クに巻きこまれ、ジェームスよし子の頬にきらめく一粒の涙。 「これじゃまるで恋愛詐欺師じゃねぇか。たしかに恋愛じゃなかっ たさ。おまけに詐欺師ではないにしてもさ」 そんな晩年の彼女の名ゼリフに、我ながら見習うことの多い人生 であった。 かしこ
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