第11回1000字小説バトル
Entry43
あのね恵子、聞いてよ。耳の調子がおかしかったから交換センター に行ってきたの。恋に落ちたのはそのときよ。彼、あの日が初日だっ たんですって。「どうなさいましたか?」っていう声が、そういえば どこかかすれてたのは、そのせいかもね。 「なんだか右耳の調子がおかしいの。耳鳴りみたいな雑音がするのよ」 っていったら、「ちょっと見せていただきますか?」って、彼の手が わたしの耳元に伸びたの。……うん、まあ、そりゃあね、彼がそうし たのは当然かもしれないけど。でも、わかんないかしら……ばーん、 と運命を感じちゃったのよ。 恵子、このあいだはごめんなさい。やっぱりあたしが間違ってたわ。 ……ええ。だってね、彼、すっごくいい声していると思ってたの。た まらない香りもする、って。でもね、そうなの、今日、目を取り替え てもらったのよ。そしたら、もう信じられないくらいダサい人で…… うん、男を見る目も機能アップしたみたいなのよね。もう最低。心機 一転やりなおしよ。ま、だから次に替えるところは決まりだけどね。 だって、次の相手のためにも新しくなくっちゃ。でしょう? いまな ら機能も二倍アップですって。ねえ、恵子もあたしと一緒にやらない?
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